
韓国・仁川国際空港を利用する旅客の間で、航空便の遅延や欠航、手荷物未着による不便が増えている。航空各社は公正取引委員会の「消費者紛争解決基準」を準用して補償にあたっているが、実際の対応は航空会社の裁量に左右される場合が多く、旅行者の不満が高まっている。
仁川国際空港公社によると、2025年1~7月に同空港を発着した国内・国際線旅客便は21万5943便と、2019年同期を上回り過去最多となった。しかし遅延便は6万3211便で前年同期比10.8%増、欠航は181便で1.7%増加した。遅延率は29.3%と前年より1.7ポイント上昇した。背景には便数増加による混雑、気候変動による悪天候や乱気流の増加がある。
公正取引委員会の規定によれば、国内線では遅延時間が1時間以上2時間未満の場合、該当区間運賃の10%を補償し、3時間以上で30%を補償する。国際線は2時間以上で10%、12時間超で30%の補償と定めている。欠航時は代替便の提供時間に応じて20~30%の運賃補償や返金が義務付けられ、国際線では200~600ドルの金銭補償も規定されている。手荷物の紛失や損傷も航空運送約款や商法に基づき賠償対象となる。
ただ悪天候や空港事情、接続便遅延など不可抗力の場合は補償責任が免除される。実際には、航空会社がラウンジ利用や食事、宿泊などをサービスとして提供することもあるが、法的義務ではなく各社の判断に委ねられている。
利用者の事例では、セブ島から仁川への便で乗務員遅刻により90分遅延した乗客は補償対象外だった一方、ニューヨーク便で5日後に荷物を受け取った乗客は購入した衣服代を航空会社から補填された。また、2カ月前に欠航を通知された乗客は補償対象外ながら、別便の航空券が提供された。
専門家は「遅延や欠航時には公正取引委員会の規定を確認し、航空会社と積極的に交渉する必要がある」と指摘する。
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