
韓国政府が推進する総額1兆7775億ウォン(約1891億4600万円)の「韓国型電子戦機」開発事業をめぐり、防衛業界大手2陣営が火花を散らしている。韓国航空宇宙産業(KAI)とハンファシステム、大韓航空とLIGネクスワンがそれぞれ手を組み、激しい受注競争に突入した。
今回の事業は、戦時に敵のレーダーや通信を電波妨害(ジャミング)することで、韓国軍の航空戦力を防護する専用電子戦機の国産開発が目的。2030年代半ばまでの戦力化を目指しており、事業の成否が今後の防衛産業の国際競争力にも大きく影響するとみられている。
今回の競争は、防衛業界内での“再戦”の構図でもある。KAIとハンファは、地対空ミサイル「天弓-III」の開発事業でLIGに敗れた過去を持つ。一方、大韓航空とKAIは「ブラックホーク」ヘリコプターの性能改善事業をめぐって激突し、大韓航空が勝利している。
韓国防衛事業庁は7月から入札を開始。8月19日にはLIGネクスワンと大韓航空が参加を表明し、KAIとハンファシステムも今後入札する。
電子戦機の独自開発に成功しているのは、現時点で米国・中国・ロシアの3カ国のみ。韓国空軍は現在、米軍の支援を受けて電子戦訓練を実施しており、自主防衛能力の確立が急務となっている。
政府は今回の事業において1兆7775億ウォンを投じ、国内企業による研究・開発を進める。民間航空機をベースに、電子戦用ミッション装備を搭載する形での開発が想定されている。
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