
少子高齢化と生産性の低下に直面する韓国で、「フィジカルAI」(人工知能を搭載した実体ロボット)が新たな経済成長の原動力として注目を集めている。政府は2030年までにフィジカルAI分野で世界一となることを目指しており、低成長の悪循環を断ち切る突破口として期待されている。
韓国銀行が1日に発表した報告書によると、2024~2026年の潜在成長率は年2.0%にとどまり、総要素生産性(TFP)の伸び率はわずか0.7%に過ぎない。2000年代初頭(2.1%)と比べ大幅に低下しており、技術革新や効率性の面で停滞が続いている。
これに対し、AI技術と製造業を融合させた「フィジカルAI」が打開策として浮上している。センサーや自動制御技術を搭載し、実際に動いて業務を遂行するAIロボットは、工場の自動化や医療、物流、建設など幅広い分野での活用が見込まれている。
韓国は世界第4位の製造業国家であり、半導体(AIの「頭脳」)、精密な工業データ(「身体」)、高速通信網(「神経網」)など、フィジカルAIを支える三大要素を兼ね備えている点で、国際的にも優位な立場にある。
米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは「AI技術と製造業の両方を兼ね備えた国は韓国だけだ」と述べ、同国を「最適なテストベッド」と評した。
韓国政府は、AIロボットによる「スマートファクトリー」を拡充し、人件費削減や生産効率の向上によって、企業の国内回帰(リショアリング)を後押ししたい考えだ。製造現場での試算では、ロボット導入により生産性は30~50%向上し、不良率も約40%低下するという。
イ・ジェミョン(李在明)大統領は昨年、AI分野での国家戦略として「フィジカルAIによる成長ドライブ」を強調。「人口構造の変化に対応するため、AIを活用した新たな成長エンジンの確保が急務」と述べた。
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