2025 年 10月 17日 (金)
ホーム政治北朝鮮革ジャン姿で先代の墓所参拝した北朝鮮・金正恩総書記…スーツ脱ぎ「統治の自信」アピール

革ジャン姿で先代の墓所参拝した北朝鮮・金正恩総書記…スーツ脱ぎ「統治の自信」アピール

2025年10月12日、錦繡山太陽宮殿を訪問したキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、キム・イルソン(金日成)主席とキム・ジョンイル(金正日)総書記の遺体が安置されている錦繡山太陽宮殿を参拝した際、従来のスーツや人民服ではなく、黒い革ジャンを着用して現れた。これまでにない「カジュアルな姿」は、先代の影響から脱却し、自身の統治に対する自信を示すメッセージだとの見方が出ている。

党機関紙「労働新聞」は13日付で「キム・ジョンウン同志が朝鮮労働党創建80周年を盛大に祝った栄光を、偉大なる首領キム・イルソン同志と偉大なる領導者キム・ジョンイル同志に謹んで捧げた」と報じた。記事には、キム総書記が革のジャンパーを着て献花し、単独で参拝する姿が掲載された。

これまでキム総書記は、同宮殿を訪れる際には常に正装を着用し、礼を尽くしてきた。しかし今回、軍用ジャケット風の革ジャン姿で現れたことは極めて異例で、北朝鮮の厳格な服装規定を踏まえると象徴的な意味を持つ。

北朝鮮では、党幹部や住民が、キム・イルソン主席とキム・ジョンイル総書記の遺体に参拝する際、スーツまたは人民服の着用が事実上義務づけられている。外国人観光客や外交団にも短パン、ジーンズ、ノースリーブ、サンダルなどは禁止され、靴にカバーをかけるほど厳格な規制が課される。そんな中で最高指導者だけが規範から外れた装いを見せたことは、「自らが規範の上に立つ存在」であることを誇示した行動といえる。

また、キム総書記は今回の発言で「共和国の高い威信と不敗の力、革命と建設のすべての成果はキム・イルソン、キム・ジョンイル同志の名と切り離せない」と述べつつも、「朝鮮革命は新たな上昇段階に入り、社会主義建設が加速している」と強調した。これは先代の遺産を認めながらも、自身の統治成果を前面に押し出す発言と受け止められている。

背景には、ここ数年の外交的・軍事的な成果があるとみられる。北朝鮮は2022年に「核武力政策」を法制化し、米国に対して「非核化はない」と宣言。2024年以降はロシアへの軍事支援を通じて関係を強化し、さらに中国との接近も進めるなど、朝中露三角連携を深化させている。

朝鮮労働党創建80周年(10月10日)を記念する式典には、中国の李強首相、ロシアのメドベージェフ国家安全保障会議副議長、ベトナムの最高指導者トー・ラム共産党書記長、ラオスのトンルン国家主席らが出席。キム・ジョンウン体制の外交的地位の向上を象徴する場となった。

韓国統一研究院のオ・ギョンソプ上級研究委員は「今回の革ジャン参拝は、北朝鮮の“生きた最高権力者”としてのキム・ジョンウン総書記の権威を強調するための演出だ」と分析。「幹部や国民には厳格な規律を課す一方で、自身は例外であることを示し、絶対的な支配力を誇示した」と指摘した。

(c)news1

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