2025 年 5月 18日 (日)
ホーム政治北朝鮮金正恩総書記が「思想強調」を強める理由…北朝鮮・経済危機と“韓国化”への危機感

金正恩総書記が「思想強調」を強める理由…北朝鮮・経済危機と“韓国化”への危機感

(c)NEWSIS

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、住民の思想統制を強化する姿勢を見せている。これについて韓国の専門家は、慢性的な経済危機の深刻化と、北朝鮮社会が韓国化する兆候を警戒しているためと分析している。

韓国統一研究院のオ・ギョンソプ北朝鮮研究室上級研究委員は、4月8日に発表した「キム・ジョンウン政権の思想強調の背景と政治的目的」と題する報告書で、2024年9月から2025年3月にかけて北朝鮮の公式メディアに掲載された思想統制に関連する報道を分析した。

報告によると、党機関紙・労働新聞では、次のような主張が頻繁に展開されている。

 ▽キム・ジョンウン氏が卓越した指導者であるとの宣伝

 ▽社会主義強国建設を導く「金正恩革命思想」とその政策の提示

 ▽「人民大衆第一主義」を金正恩革命の核心として強調

 ▽党の指導は首領の指導であり、首領と人民の運命は一体であるとする構図の強調

 ▽敵対勢力が反体制的な思想・文化を流入させて体制を転覆しようとしているとの警戒

 ▽首領の掲げる目標への住民の「自発的」な参加を求める

オ・ギョンソプ氏は「社会主義体制においてイデオロギーの管理失敗は支配の正当性を崩壊させる」と指摘したうえ「キム・ジョンウン氏に対する絶対的忠誠や献身を繰り返し強調するのは、権力強化と統治正当化の一環だ」と分析した。

またオ・ギョンソプ氏は、キム・ジョンウン政権が思想統制を強化する背景には、深刻な経済難と社会の“親・韓国化”傾向があると指摘する。「経済危機は住民の不満を高め、体制に対する反感を助長する」と述べ、現状では体制維持の打開策として「自力更生」と「思想強化」しか見出せていないと分析した。

さらに「北朝鮮社会が韓国化していくことは、韓国より優れていると主張してきた北朝鮮の体制や指導部の存在そのものを揺るがす」として、「外部情報を通じて自由で豊かな韓国と、貧困と抑圧の続く北朝鮮の実態を比較する住民の間では、体制への不信と反感が増大し、やがて政権の正統性を失わせかねない」と警告した。

オ・ギョンソプ氏は最後に「思想強調はキム・ジョンウン氏を中心とした統合を試み、政権の長期的存続を狙ったものだが、現実との乖離はむしろ正統性の崩壊につながる可能性がある」と強調した。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular