韓国のスタートアップ(規模や設立年数などを問わず、イノベーションを起こして急成長する企業)が育児市場攻略に積極的に乗り出している。育児“初心者”の親に向け、妊娠・育児コンテンツアプリを運営する企業がその代表例といえる。
◇少子化なのに育児産業成長
韓国では少子化が進んでいるにもかかわらず、育児関連産業は成長を続け、2015年には2兆4000億ウォン(約2510億円)だった育児用品市場は現在、4兆ウォン(約4184億円)を上回る規模になった。
家族全員が子供1人を大事に育てる「ゴールドキッズ」、両親とその両祖父母、叔父叔母らを含めた10人が資金を提供するという「テン・ポケット」の状況が目立っていることが背景にあるようだ。
◇妊娠・育児の心配事相談
韓国のスタートアップ「ビレッジベビー(Village Baby)」は「It takes a village to raise a child(子供を1人育てるのに、村全体が協力する)」ということわざから始まった会社だ。
赤ちゃんを寝かせるベッドをどうすべきか、妊娠中に必要なビタミンな何か――など、初心者の「オンパ」(ママとパパ)たちには妊娠・育児に関する心配事は絶えない。こうした「オンパ」たちに多様な情報を提供し、必要な物品を選んで送るサービスとして、コンテンツコマースプラットフォーム「ベビービリー」を立ち上げた。
2020年7月のリリース以来、累積コンテンツ再生数2000万回、累積会員加入者数40万人を突破した。今年5月のベトナムから始まり、9月末にインドネシアとタイの市場にも進出した。9月には手首サポーターを発売して完売し、ベビー用品市場での可能性も確認した。今後、妊婦パックなどのスキンケア製品やベビーカーなども発売するという。
◇金融業界で続くラブコール
機関投資家の間でもビレッジベビーは注目を集め、最近、70億ウォン(約7億円)規模のシリーズA投資誘致を終えた。機関投資家はビレッジベビーが、単なる妊娠・育児コンテンツ提供を越えて「フィンテック企業」に成長する可能性を見込んでいるという。
投資会社が定義する「フィンテック企業」とは、情報通信技術を活用して金融産業に寄与すると、国外の金融機関が認める会社。ビレッジベビーは現在、保険、カード、証券、銀行など多様な企業とのコラボを進めている。
保険会社なら胎児や子供の保険、銀行なら「我が子の初通帳口座」、カード会社なら国民幸福カードの新規募集――などの分野でビレッジベビーと協業して、マーケットを広げたい考えのようだ。
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