2024 年 7月 27日 (土)
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詐欺防止、決め手は「ペットの鼻の写真」

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韓国のペット保険(ペット医療保障保険)活性化への課題だった個体識別問題が解決できる見通しになった。人工知能(AI)を活用して子犬などペットの生体の特徴を認識し、区分する技術を開発するペットテックのスタートアップ企業が増えているためだ。費用や倫理的論争からも解き放たれるため、マイクロチップに代わるものとしてペット産業で活用が期待されている。

スタートアップ「ペットナウ」は今月13日、ペットの鼻のしわから“身元”を確認する技術を開発した。鼻紋は指紋のように、それぞれ異なるパターンがあるという点に着目した技術だ。スマートフォンで鼻の写真を撮るだけで、自動的に“身元”が確認できる。ペットナウはこの技術で、米ラスベガスで今年開かれた世界最大テクノロジー見本市「CES」で最高革新賞を受賞した。

ほかにも、ペットの識別に注目する企業が増えている。ペットヘルスケアスタートアップ企業「フィットペット」は2020年、ペット鼻紋認識ソリューション「ディテクト」の特許登録を完了した。ディテクトもAIマシンラーニング技術に基づき、動物の鼻紋を認識して個体を識別する技術だ。韓国情報通信技術協会(TTA)の確認試験で99%以上の精度を記録した。ペットナウによると、昨年までに蓄積された鼻紋画像は約1万6000件に達する。

鼻紋の代わりに顔を認識するスタートアップ企業もある。「ブロックペット」はペットの顔の特徴を活用して認識する「ペットフェイスID」を開発。その後、動物の個体情報をブロックチェーンに保存・管理することでセキュリティも強化した。ブロックペット側は、美容の状態や年齢による容貌の変化までデータ化されている、と強調している。

◇ペット保険加入拡大に期待

このようなスタートアップ技術に最も期待を寄せているのが保険業界だ。個体識別技術がペット保険への加入拡大にもつながると見ているためだ。

スタートアップ企業「ペットテック」の関係者が現状を次のように解説する。

「子犬の場合、マイクロチップに対する拒否感があるため、動物保護管理システムの登録率が40%ほどにとどまっている。猫は登録義務対象でないため、個体を識別するのが難しい。消費者が一つの保険商品に加入して複数の動物で使う例もあり、保険業界側も保険料値下げ、保険金支給の簡素化など、便宜を提供できない」

フィットペットは2019年、DB損害保険と、鼻紋認識技術の「ディテクト」を活用してペット保険商品を発売した。保険金を請求するたびに鼻紋を照合して、支給対象が合っているか確認する方式だ。ペットナウもやはり保険会社とのコラボを進めている。フィットペットは一歩進んで、2023年までに自社でペット保険会社を設立すると明らかにした。

ただ、この技術が普及するには、精度の向上とともに動物保護管理システムで顔面・鼻紋認識技術を許容するなど、規制緩和も必要だ。現行の動物登録法はペット犬登録を、マイクロチップなど内外装型の無線識別装置だけで認めているからだ。

ブロックペットとフェーブルは昨年、科学技術情報通信省の「規制のサンドボックス」として、顔面認識技術を活用する規制特例の適用を受けたものの、地域が江原道(カンウォンド)春川(チュンチョン)に限られた。ブロックペットの関係者は「今年1~8月、春川でサービスを手掛けた後、第2次の実証場所を決める」と話している。

ペットテック関係者は「動物個体識別技術が制度的に認められれば、いまは低くとどまっている動物保護管理システムの登録率を引き上げ、捨て犬・捨て猫などの社会的問題も解決できるだろう」との見解を示す。

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