2025 年 7月 5日 (土)
ホーム社会見て、触って、走って学ぶ…韓国・現代自動車の「ユーザー体験」基地がオープン

見て、触って、走って学ぶ…韓国・現代自動車の「ユーザー体験」基地がオープン

現代車・起亜 UXスタジオソウル(c)KOREA WAVE

「スマートテールゲート(手動トランク)は特定のエリアを認識してユーザーが開ける仕組みですが、アプローチアンロック(自動ロック解除)と衝突する部分がありました。いつでもテールゲートを使いたいのに、ドアがロック状態だと使えない状況があって、その条件でなくても開けられるようにここで改善したんです」

韓国現代自動車・起亜の「UXスタジオソウル」で出会ったある研究員は、実際の顧客の不便な事例をもとに、改善に取り組んだケースを紹介した。7月3日にソウル市江南区にある現代車・江南大路社屋に開館するUXスタジオソウルは、車両の使用体験を改善するための研究プラットフォームだ。「UX」とはユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)。

現代車・江南大路社屋の1階と2階をリニューアルして作られたUXスタジオソウルは、これまで研究員と事前に募集されたユーザーだけが利用できる空間だった。現代自動車グループは、今回のUXスタジオの移転を通じて、多様な来訪者にモビリティのユーザー体験(UX)を効果的に伝え、改善点を見つけることを目標としている。

現代車・起亜 UXスタジオソウル シミュレーションルーム(c)KOREA WAVE

1階はオープンラボ空間として、現代車・起亜の全般的なUX研究過程を見学できる。UXインサイトエリアでは、入り口に設置された大型ディスプレイを通じて全体的なUX研究の流れを確認できる。ドア、シート、ムービングコンソールなど、さまざまなUXコンセプトが反映された模型を体験できる。

UXコンセプトエリアには、木製のスタディバック(ユーザビリティ検証などを目的とした実験用模型)が設置されている。この中では、車両の空間構成、シートおよび収納機能、移動コンソールなど、多様なUXコンセプトを直接確認でき、VR機器を通じて車両に適用されたUXを没入感のある形で体験できる。

UX検証エリアでは、検証用バックを使って走行シミュレーションを体験できる。仮想走行環境が前方のLEDウォールに表示され、検証バックに搭乗して実際の運転状況のようにさまざまな機器を操作することができる。

現代車・起亜 UXスタジオソウル(c)KOREA WAVE

これにより運転者の視線データを収集し、機能の動作や視線の分散に応じたユーザビリティ指標を導き出し、テスト結果を検証することができる。

ソフトウェア中心車(SDV)への転換過程を体験できるスペースも設けられている。SDVゾーンでは、現代自動車グループの未来のプラットフォームである電気・電子(E&E)アーキテクチャが展示されている。E&Eアーキテクチャは、ハードウェアとソフトウェアを分離して開発するのが特徴で、コントローラーを高性能コンピュータ(HPVC)とゾーンコントローラーにより中央統合型で設計している。

現代自動車グループによると、E&Eアーキテクチャを導入すれば、従来の車両アーキテクチャに比べてコントローラーを約66%削減できるだけでなく、ワイヤリングハーネスを減らしてシステムの複雑性を下げ、軽量化も図れる。同時に、継続的なアップデートを通じて常に最新の車両状態を維持できる基盤となる。

現代車・起亜 UXスタジオソウル(c)KOREA WAVE

現代自動車グループの次世代インフォテインメントシステムも体験できる。SDVゾーンでは、「プレオス・コネクト」が搭載されたSDVテストベッド車両に乗って、さまざまな機能を操作してみることができる。プレオス・コネクトは、来年第2四半期に発売される新型車に搭載予定の新しいインフォテインメントシステムで、スマートフォンに似たインターフェース(UI)が特徴だ。

現代車・起亜の車内インフォテインメントシステムの変遷が見られる「UXアーカイブゾーン」も見どころだ。ここでは、人間の五感をテーマに、運転者の視点から共感できる企画展示がある。最初の展示テーマは「視覚の体験」で、現代車・起亜のクラスター、センターパネルなどの変遷を紹介している。

◇オープンプラットフォーム

UXスタジオソウルの2階は、本格的な研究員たちの空間だ。1階では訪問者の体験データを蓄積できるが、2階は依然として事前に募集されたユーザーのみが参加可能。「アドバンスト・リサーチ・ラボ」と呼ばれる2階は、研究者とユーザーがUX研究を共同で進める空間だ。

UXキャンバスは、研究員と顧客が共にさまざまなアイデアを発散する場所であり、ワークショップやセミナーなど多様な目的で活用されている。この場所で出会った「ドライビングフィーチャールーム」の研究員は「世界中に搭載される現代車・起亜のUXの変化はここから始まる。世界的な方向性を定める重要な空間だ」と語った。

「フィーチャー開発ルーム」は、自動運転UX、高性能車UX、人間と機械の相互作用(HMI)など、分野別に細分化された研究空間を通じて、特定のテーマに基づいたUXコンセプトを迅速に開発・検証できるように可変的に構成されている点が特徴だ。

仮想環境を用いて車両を検証する「シミュレーションルーム」では、新たに開発されたUXコンセプトが走行中にどのようなユーザビリティを示すのか、どのような改善点があるのかをデータに基づいて精密に確認できる。

730個のLEDモジュールで構成された巨大なスクリーンが一面を覆うこの空間には、Cセグメントセダンから大型SUVまで変形可能な可変テストバックがあり、車両の動きを細かく模擬する6軸モーションシミュレーターによって、実際の運転に近い評価環境を演出することができる。

シミュレーションソフトウェアには、ソウル、米サンフランシスコ、インド・デリーなど世界主要都市の実際の地図をもとにした仮想環境が構築されており、より没入感のある走行体験を提供する。また、世界的に有名なモーターレーシングサーキットも同様に組み込まれており、高性能車のUX評価にも対応している。

(c)KOREA WAVE

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