2024 年 12月 9日 (月)
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自家製ビール産業の未来はどこへ?

 コラム 

韓国自家製ビール協会 パク・ジョンジン会長

韓国自家製ビール協会 パク・ジョンジン会長©MONEY TODAY

韓国で数年前まではビール専門店でしか楽しめなかったクラフトビール。酒税制度の見直しや日本のビール消費の減少をきっかけに、近所のコンビニでも気軽に接することができるようになり、消費者らの選択肢が一段と多様化した。

馴染みのなかったIPA、ペールエール、ウィートエールなどのビールの種類を、いまでは選んで楽しむ人もかなり多くなったことを考えると、クラフトビールはれっきとしたトレンドになりつつあるようだ。

クラフトビール産業が年間1500億ウォン以上の市場へと早い成長を遂げたものの、業界従事者やクラフトビール会社の多くが、かつてなく厳しい状況に直面しているという現実は皮肉だ。

売り場では主にビールを販売していた小規模のクラフトビール業者が、新型コロナウイルス感染による営業制限で販路を失い、存廃の危機に瀕している。昨年は11カ月間の営業時間や集合人数で制約を受けた。

さらに深刻なのは、ビール製造を兼ねるクラフトビール会社の特性上、「小商工人」と呼ばれる自営業者に当たらない場合がほとんどで、政府の感染対策による営業損失の補償すらほとんど受けられないのだ。コンビニでビールを販売しているクラフトビール会社の状況はまだよい方。150社余りのクラフトビール会社のうち、コンビニに納品できる所はおよそ10社余りに過ぎない。

政府は、大きな設備投資がなくても缶ビールを販売できるようにするという名分で酒類の委託生産(OEM)を許容した。しかし、この措置も業界ではうまく作用していない。クラフトビールの流通においてはコンビニ各社が絶対的な力を持ち、クラフトビール会社ならではのブランドより、コラボ商品により大きな関心を寄せて製品を選ぶからだ。

このため、小麦粉やチキン、歯磨き粉、ガム、出前アプリ、ラーメンに至るまで、さまざまなブランドとコラボしたクラフトビールが発売された。だが、ビールそのものの品質や差別化より、消費者の関心を集めるための話題性だけに焦点が当てられてきた。

原材料単価の持続的な上昇にもかかわらず、「4缶1万ウォン」という枠に長らく閉じ込められ、多様で、質の良いビールをつくれない環境が続く。それゆえ、コラボやデザインがより優先的な要素になってしまった。しかも、話題の製品は短期間で消費され、また別の商品にとってかわる。

クラフトビール産業は苦労の末、ようやく芽が出た。それが再び萎縮している。数十年間続いた“画一化したビール文化”に戻らないためには、この業界がどこに向かっているのか、冷静に考えてみる必要がある。これは結局、政策の方向性と消費者の判断による。

政府は、新型コロナで焦土化した零細クラフトビールメーカーに対するオンライン販売を認めるべきだ。果敢な税制支援を通じて、産業の根が枯死することを防がなければならない。

消費者にはコラボ製品とともにビールそのものの品質や多様性に関心を持ってもらう。それがクラフトビール産業の競争力を高め、消費者がより多彩で、質のよいビールを長く楽しめる方法であると信じる。正しい方向設定で、K-フードとともに、世界に羽ばたくK-ビールの土台が整うことを願う。

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