労働市場の中核である「40代ニート」が増加している。世界景気の鈍化を受け、韓国経済を支えてきた製造業が揺らぎ、家計の責任を負う家長の男性が、雇用市場から押し出された形だ。
韓国統計庁が10月22日に発表した「雇用動向」によると、2023年9月の就業者数は1年前より30万9000人増えたが、40代の就業者は5万8000人も減少した。2022年6月以降、15カ月連続で40代の就業者が減っている。性別では、40代女性の2万4000人は新たに就業した一方で、40代男性8万2000人は職を失った。
40代は家族の生活を担う家長が多いが、彼らの仕事探しは極めて厳しい。40代の就業者は、2018年6月に12万8000人減少して以降、2021年5月までの3年間、下落傾向が続いた。その後、雇用が一時改善したものの、2022年7月から再び状況は悪化した。
雇用市場が特に40代に厳しい背景には、製造業や卸売、小売業の不振が原因に挙げられる。40代の雇用を吸収するはずの産業が低迷し、就職市場の扉が狭くなったとみられる。実際、9月の製造業就業者は7万2000人が減り、2023年1月から9カ月連続で縮小した。卸売や小売業の就業者も2019年5月(1000人)を除けば、2017年12月から5年以上減少傾向が続いている。
平均退職年齢が40代後半という点も、現状を反映している。統計庁の「2023年経済活動人口調査高齢層付加調査」によると、55歳から64歳の就職経験者の中で、最も長く勤めた職場を辞めた時の平均年齢は49.4歳で、定年の60歳より10年以上早かった。
職場を辞めた理由では、女性の場合、「家族の面倒を見るため」という回答が26.6%で最も高かった。一方、男性は事業不振、休業・廃業が35.2%で最も多く、勧告辞職、希望退職、整理解雇が続いた。最も働きざかりの時期に、職場で退職圧力を受けたことになる。
仕事から疎外された40代男性が抱える憂うつ感は深刻と言える。乙支(ウルチ)大学医療経営学科のナム・ジンヨン教授チームが、国民健康栄養調査に参加した20~60歳の男女1万4087人の就職状態別憂うつ危険を分析したところ、未就業者が憂うつ感を持つ割合は、就業者より2倍も高かった。
特に40代の未就職男性の場合、憂うつ感を持つ割合は50代就業者の8.3倍に達した。家長である可能性が高い40代の男性は、家族を扶養するために安定した収入が必要とされるが、未就職であることの圧迫感とストレスが憂うつにつながったという分析している。
40代の就職難の深刻さは政府も認識しているが、解決手段は見つからない。政府は高齢化に伴い、60歳以上の高齢者を対象に集中雇用政策を展開中だ。また、青年層(満15~34歳)の雇用支援対策も拡大している。
(c)NEWSIS