現場ルポ
韓国京畿道軍浦(クンポ)にあるCJ大韓通運スマートフルフィルメント(Fulfillment=商品の受注から決済に至るまでの業務全般)センター2階(スマート階)。ここでは、魔法のように数百個の棚が一糸乱れず動いている。動力源は人ではない。ロボット掃除機のような形をした無人搬送車(AGV)が、棚の下で、床に敷かれたQRコードを認識し、商品と箱を運んでいる。
労働集約型産業に分類される物流業で、CJ大韓通運がロボットや人工知能(AI)などの先端技術を使い、業務効率を高めている。昨年12月から稼動した軍浦スマートフルフィルメントセンターでは、一つのフロアーでロボット130台余りとAIが導入された。軍浦フルフィルメントセンターのセンター長を務めるチョ・ジュヒョン氏は「現在このフロアーの1人当たりの作業量が1時間で23.8箱。一般の物流センターのやり方に比べ、55%高い」と話した。
◇データで武装した最先端センター…ロボットが勝手に「テキパキ」
スマートフロアー運営の中心はデータだ。CJ大韓通運はスマートフルフィルメントセンターに入庫されるすべての商品について、体積・重量を測定し、データとして蓄積する。これをロボットとAIが使ってピッキング・検収・包装・出庫など、すべての作業を手掛ける。
人が倉庫で注文商品を選び、それを宅配箱に入れるために再び作業空間まで運ぶようなことはない。ロボットが大部分の業務を引き受けるため、人手がかかる作業はピッキング(棚・かごなどから商品を取り出す作業)・画面タッチ・バーコードスキャンだけだ。
まずピッキングステーション(支店)で作業者が顧客の注文を処理すべくタッチスクリーンを押せば、ピッキング・移送AGVが運搬した棚が到着する。棚には顧客注文商品の種類・数量に合わせて体積・重要の合計をAIが一つ一つ計算した、最も適切な大きさの空き箱が用意される。
その反対側には栄養剤、マスク、口腔清潔剤など商品が入った棚が待機している。ピッキングAGVは棚に物品が落ちた場合、補充地点に移動し、人がこれを追加するようにする。商品が満たされれば、ピッキングAGVがこれをピッキング地点に運搬する。ピッキングの作業員は、到着した棚にある商品の位置を画面で見て把握し、反転してこれを背後に置かれた空箱に移す。
満たされた箱は移送AGVが検収ゾーンに運搬する。検収ゾーンには作業員は1人しかいない。システムは、検収ゾーンコンベヤーベルトの上に置かれた箱別重量を測定し、従来の商品データと比較して±5%以内であれば自動通過させる。超過・未達が出た場合、別途分類して人が直接点検する。
包装もデータを活用して生産性を30~40%向上させた。検収を終えた箱はコンベヤーベルトに沿って包装ゾーンに移動する。ここでは3Dビジョンスキャナーが箱の空き空間を測定する。測定したデータに従ってロボットアームが適切な量の紙緩衝材を入れる。以後、テーピング・送り状付着など作業も、すべて自動化されている。
出庫も自動だ。包装された箱は、送り状が顧客の注文と一致するかロボットの検収を受けた後、コンベアベルトに載せられて、1階に下がる。各箱は送り状に書かれた住所によってハブターミナルに移される。ロボットがどのターミナルに送るか、自動的に分類して待機中の貨物車の前に届ける。
◇空間活用度・業務効率↑
CJ大韓通運は、このような自動化によって、業務効率が大幅に改善されたと説明する。スマートフロアーでは一般的な物流センターとは異なり、人が商品を探す必要がない。
処理する物の量も増えた。1日平均1万箱で、従来の平均7400個に比べて多い。作業員の移動動線を削除し、空間効率を極大化しながらより多くの物品・人材を配置できるためだ。商品を探すために時間を浪費せずに同じ場所ですべて入れることができる。
特に、このすべての業務は総合管制室でデジタルツインを通じて観測と制御が可能だ。CJ大韓通運はこれを活用し、顧客が注文した物品が現在、どんな処理プロセスにあるのかリアルタイムで追跡でき、翌日配送が可能だとしている。今後、翌日配送システムをより、いっそう安定させ、当日配送・早朝配送サービスを拡大していく方針だ。
センター長のチョ・ジュヒョン氏は「高度化された技術・運営能力により、電子商取引業者は販売とマーケティングに集中できる。消費者の配送満足度も高めていく」と話した。
©MONEYTODAY