
37匹を救って、問題は終わったと思っていた。
ところが、まもなく30匹余りが飼育場に連れてこられた。韓国京畿道(キョンギド)華城(ファソン)市庁は、この犬農場に行政命令を出し、罰金を科した。だが効果はなかった。
動物保護ユーチューバー「スナイパー・アントル」は、華城市役所に再び通報した。やがて担当の公務員が「犬の食用禁止」と大きく書かれたワゴン車に乗って現れた。

待機する間、アントルがため息をついた。「本当に終わらない問題だ」。悪質な犬農場を告発するために関連法律の勉強までしたという。
「犬農場を一つなくした時、希望が見えた気がした。だが、何百カ所もある犬農場をなくすのは難しい。江原道(カンウォンド)原州(ウォンジュ)市の犬農場を完全に撤去するのに7~8カ月もかかりました」
これまでアントルが告発して行政命令を受けさせた悪質な犬農場は約200カ所に上る。そのうち完全に廃止されたのは「10~20%程度だけ」とみる。4月27日には「犬食肉処理禁止」法案が国会を通過したが、根本的な解決にはならないだろう――アントンはこう考える。

◇「私の犬よ、行け!」と大声で叫んでいた主人
華城市役所の公務員らがやってくると、アントルらは緊急隔離措置になると期待した。劣悪な飼育環境が問題視され、37匹が救助されたのに、再び30匹余りを連れてきて同様の環境に置いているのだ。問題は明白だ。
動物保護法第10条「動物虐待」条項には、「ペットに最小限の飼育空間や餌を提供すること」「衛生と健康管理事項など保護義務に違反し、傷害または疾病を誘発してはならない」と書かれている。

華城市役所の公務員たちは、犬農場の主人にこう語った。
「飼育場で排泄物まみれになって育てられると、赤ちゃん犬の場合は、免疫力が落ちて死んでしまいます。1匹当たり最低2~2.5mのケージを作って、1匹ずつ入れなければなりません。それ、全部用意できますか?」
さらに、病院で診療を受けさせ、確認書を送る必要があることも伝えた。
すると、主人は「病院はお金がかかるので、私が抗生剤注射を打つ」と言い、「獣医を呼んで、打つ」とも話した。
アントルが「子犬たちを隔離しなければ、数日以内に死んでしまう」と言うと、主人は興奮しながら叫んだ。
「死なない、死なない! 私が飼っている犬だ。私が好きなようにする。出て行け!」
ここには、情報を提供した人もいて、主人の前で泣きながら訴えた。
「おじさん、どうかやめてください。この子たちの目を見ると、本当に可哀想になります。愛犬です。食用ではありません。なぜ犬を捕まえて、汚い餌を食べさせるんですか」
(つづく)
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