
トランプ米大統領は9日、米国が輸入する鉄鋼・アルミ製品に25%の関税を課すと明らかにした。トランプ氏は1期目にも鉄鋼に25%、アルミニウム製品に10%の関税を課した。この動きに対し、中国も予告通り石炭や液化天然ガス(LNG)など一部品目に報復関税を課す姿勢を示しており「関税戦争」が本格化する様相を呈している。韓国の産業への悪影響が懸念されている。
トランプ氏は、すべての国に対し相互関税を課すとも発言したが、その詳細については明かしていない。相互関税とは、2国間で同等の水準の関税を課すよう調整するもので、米国が貿易で損失を被っていると判断する国には、より高い関税を課す可能性がある。
韓国は米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいるものの、昨年の対米貿易黒字は557億ドル(約8兆4854億円)に達しており、米国が相互関税を導入する可能性も取りざたされている。
トランプ氏は4日以降、中国製品に対する関税も10%引き上げた。これに対抗して中国は米国産の石炭と液化天然ガスに15%、原油、農業機械、大型車両などに10%の追加関税を課すと発表した。米国の対中関税引き上げ発表後、トランプ氏と中国の習近平国家主席が通話し、妥協点を模索する可能性もあったが、交渉は不成立となった。
また、30日の猶予期間は設けられているものの、米国はカナダやメキシコにも関税引き上げを検討している。関税戦争が拡大する兆しを見せる中、韓国産業への打撃も懸念されている。
ポスコ、現代製鉄などの鉄鋼業界は直撃を受けそうだ。
韓国の鉄鋼業界は既に米国で年間無関税輸出量を70%に制限されるクオーター制の適用を受け、約250万トンの鋼材を輸出している。
今回の米国の関税引き上げ措置と鉄鋼クオーター制がどのように連動するかはまだ不明だが、米国の関税強化の流れにより悪影響が予想される。ポスコの北米向け輸出比率は約15%、現代製鉄は5%未満と評価されている。両社とも米国内に製鉄所を運営してはいないが、現代製鉄は米国での設立計画を検討中と伝えられている。
相互関税が本格的に導入されれば、産業全体の輸出減少も予想される。
韓国貿易協会は10日、米国が中国に10%、カナダとメキシコに25%、一律関税として10%を課した場合、昨年の韓国全体の輸出の1.9%に相当する132億4000万ドルが減少するとの分析結果を発表した。
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