現場ルポ
◇プラットフォームの能力も結集
SKテレコムは「Connected Intelligence」(機器が高度化して相互に接続し合う)をUAM事業のビジョンとして提示している。
UAM機体やバーティポート(vertiport=垂直離着陸用飛行場、ドローンやヘリコプターなどが垂直に離着陸できる場所)、これまでの交通手段などを連結してコミュニケーションまで可能にするという構想。
そのため通信に加え、プラットフォームの能力も結集する方針だ。特に子会社の「Tマップモビリティ(T Map Mobility)」と相乗効果を生み出していく、と明らかにした。
CDOのハ・ミンヨン氏は「通信の経験・その優秀性に基づき、Tマップモビリティが持っているMaaS(サービス型モビリティ)を結合させ、UAM事業をしっかりと、最も高いレベルで提供できる」と自負する。
◇最初は低密度地域で
SKテレコムはパートナーシップの競争力も強みとして掲げている。
UAM機体事業者の中で技術力が最も優れている「ジョビー・アビエーション」はもちろん、航空・管制・交通分野でノウハウを備えた事業者と協力関係にある点を強調している。
特に、ジョビーは米ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズのエアタクシー事業部門を買収するなど、UAM分野の先頭走者と評価されている。ジョビーが開発した機体は時速330キロメートル、航続距離241キロメートル、高度3キロメートルの性能を誇る。
2025年の商用化以後、観光や医療用、物流などにおいて、無人での運送が可能な分野からサービスを開始するという。ハ・ミンヨン氏は「最初は低密度地域で観光、医療用、あるいは物流などのニーズがあると思う」と話している。
◇8月にUAM法
SKテレコムは、UAM商用化のためには制度的な後押しが重要だ、という点も強調している。円滑な事業の推進のために、航空安全法、航空事業法、空港施設法などの整備が必要だという指摘だ。
ハ・ミンヨン氏は「これまでの航空事業に対する規制緩和が必要だ。国土交通省、科学技術情報通信省、傘下機関と密接に協力しており、民間の声が政策に反映できるよう努力している」と明らかにした。
これに関連し、ウォン・ヒリョン(元喜龍)国土交通相は15日、高尺(コチョク)スカイドームで開かれた「2022大韓民国ドローン・UAM博覧会」で、8月に規制特例を盛り込んだUAM法を準備すると言及した。
商用化以後、料金問題がカギになるとみられる。多数の事業者が協力する形を取るうえ、高い水準の技術力が必要なため、安い価格で利用することは容易ではない。
ハ・ミンヨン氏は「ウーバーはキロメートル当たり3~4ドル程度を提示している。商用化の時点で、他国の料金水準を参考にしたい」と表明している。
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