2025 年 10月 31日 (金)
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深刻化する「カンボジア事件」韓国政府は外交的圧力を強めよ [韓国記者コラム]

カンボジア国営通信AKPのウェブサイト(c)news1

カンボジアで「高収入の仕事」を餌に韓国人を狙った拉致・監禁事件などの凶悪犯罪が急増し、国家的問題に発展している。韓国政府の対応の遅れも問題だが、根本的にはカンボジア政府がどこまで本気で取り締まるかにかかっている。

カンボジアで韓国人を対象とした凶悪犯罪は2025年上半期だけで303件に上る。特に拉致・監禁事件は2023年の21件から2024年には221件へと急増し、今年もすでに213件が発生している。

それにもかかわらず、現在カンボジアで勤務する韓国警察の人員は駐在官1人と協力官2人の計3人に過ぎず、現地で発生するあらゆる事件に迅速に対応するのは事実上不可能な状況だ。

韓国政府は2025年8月、慶尚北道出身の大学生がカンボジアで拉致・拷問され死亡した事件をきっかけに、ようやく事態の深刻さを認識した。イ・ジェミョン(李在明)大統領は外務省に「総力対応」を指示し、警察も現地に「コリアンデスク(韓国警察の連絡官)」を設置する方針を示している。

しかし、カンボジア国内で韓国の警察権を直接行使することには明確な限界がある。さらに、現地警察は「被害者本人が自らの所在・建物の情報・写真・パスポートの写し・救助要請動画を提出しなければ通報を受理しない」としており、積極的な捜査よりも「書類の正確性」を優先する姿勢を見せている。典型的な行政便宜主義である。

いまこそ外交を「武器」として使うべき時だ。韓国政府がカンボジア政府に対し強い圧力をかけ、取り締まりへの意欲を高めさせることができれば、犯罪組織に対しても「韓国人を狙うべきではない」という明確なメッセージを送ることになる。

カンボジアは韓国の政府開発援助(ODA)の重点協力国の一つであり、支援額は2024年に2178億ウォン、2025年には4353億ウォンに達している。韓国政府は、重点協力国からの除外を検討することで、カンボジアに外交的警鐘を鳴らす選択肢も持つべきだろう。

韓国政府がより強い外交的圧力を行使しなければ、この「カンボジア事件」の連鎖は止まらない。【news1 ノ・ミンホ記者】

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