2024 年 6月 13日 (木)
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治療をあきらめる人… [KWレポート] 痩せるリスク (9)

インタビューに答える作家パク・ジニさん(c)news1

作家のパク・ジニさん(43)は、大学生だった1998年、心理学の授業を聞きながら初めて摂食障害について知った。

痩せて死んでいく女性たちの話は、以前からメディアに絶えず登場してきたが、摂食障害の患者が韓国国内にどれだけいるかを調査した公式の有病率統計はいまだにない。

「メディアがいくら摂食障害を扱っても、韓国社会は“センセーショナルな話題”とみなし、それが重要な問題であるとはとらえません。若い女性たちの病気であり、ダイエットや『プロアナ』(pro-anorexia・拒食症賛成)という視点で取り上げ、『この人たちは狂っている』として終わらせてしまう」

パク・ジニさんはこう批判する。

若い女性が豊かな学校生活を送ることができず、ご飯を食べられない――この事態は、未来を担う世代に深刻な影響を及ぼすことだ。

「ひきこもりの青年の対策は重視されていますが、摂食障害の女性たちは助けてくれません」

◇治療の専門家、韓国には少なく

摂食障害は自ら統制できない精神疾患であり、「F50」という明確な疾病コードも持っている。しかし、韓国国内には摂食障害を治療する専門家は少ない。国家健康保険や実費補償タイプの医療保険のいずれも適用されない。そのため、食事治療や行動治療、家族相談など長期間かかる費用に耐えられず、治療をあきらめる人も多い。

パク・ジニさんの場合、2カ月の入院費として400万ウォン(約42万円)を求められた。知人は9カ月間入院し、月々の支払は300万ウォン(約32万円)に上った。

パク・ジニさんは経済的に苦しく、病気と格闘しながら生活費を稼いだ。そして、病気について懸命に調べた。治療のプロセスが順風満帆だったわけではない。ただ、進んで学んだ経験は、当時も今も役に立っている。

パク・ジニさんが参加した摂食障害認識週間イベントポスター(インスタグラムより)(c)news1

◇家父長制に押された80代のおばあさん

パク・ジニさんは「摂食障害認識週間行事」を企画・進行している。ユーチューブで、この行事を見た50~60代の女性も、やはり自分たちが若いころに摂食障害を体験したと伝えてきた。

食べ物や体に対する不満や不安定を覚えるという問題。これは最近になって現れた現象ではないと痛感した。

パク・ジニさんは昨年冬、あるドキュメンタリー映画を見た――。

主人公は80代のおばあさん。亡くなるまで、ほぼ40年間、食べて吐いていた。家父長制が強い家庭で、娘ばかりを産む嫁だと言われ、叱られた。木の枝や長い割り箸をのどに突っ込んで吐いたそうだ。

「飢え」というものを通じて、社会的圧迫と苦痛から抜け出そうとする女性たちの話は、長い歴史にもたびたび登場するそうだ。

「中世には『飢える聖女』として現れました。女性の社会的状況が表向きには変わったようですが、基本的に『非正常』や『第2等市民』とされるものは変わっていません。整形やダイエット産業でも、まともな人が突然患者になるという特徴があります」

◇当事者だからこそ…

当事者中心の研究が必要だと、パク・ジニさんは考える。摂食障害を経験した当事者だからこそ、誰よりも摂食障害をよく語ることができ、より深く悩む。外国では、医療人類学や医療人文学分野で、患者中心の臨床研究が活発に進められている。

パク・ジニさんは、摂食障害の経験を生かすために「デジタル薬」(病気を治療するアプリなど)の開発企業に7カ月ほど勤めたことがある。ただ、医療の専門家ではないという理由で貢献度・功績が認められることはなかった。

今は、個人的に摂食障害研究プロジェクトを進め、関連支援法と政策を推進する活動家モデルを夢見ている。摂食障害だけでなく、他の疾患や障害で病気になった人々と連帯する方法も考えている。

「韓国には学会も病院も財団もありますが、米国のように寄付文化が根付いていません。事業モデルを探す必要があります。有病率調査が必要だと訴え、国会にも行ったが、事案が大きくならないと難しいそうです。摂食障害の治療のための保護者の教育や学校教育プログラムも運営したい。できることは全部したいのです」

(つづく)

(c)news1

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