韓国大統領直属の情報機関・国家情報院傘下の「国家サイバー安保センター(NCSC)」が11月30日に設置した「国家サイバー安保協力センター」。民間と協力しながらサイバー攻撃に対抗するため、韓国のシリコンバレーと呼ばれる京畿道(キョンギド)城南市(ソンナムシ)板橋(パンギョ)第2テクノバレーに設けられた拠点だ。
協力センターの「合同分析室」では、明るい照明の下、セキュリティ専門家の手に握られたマウスが忙しく行き来していた。彼らが眺めるパソコンには複雑なデータが詰まっている。窓には韓国を代表する情報セキュリティ企業のロゴが貼られていた。
合同分析室では▽国情院▽科学技術情報通信省▽国防省などの関連機関のほか、SKシルダスやESTセキュリティ、S2W(エスツーダブル)といった情報技術(IT)セキュリティ企業5社の専門家が同じ空間で仕事をしている。
北朝鮮ハッカーが今年、DeFi(中央集権型システムを必要としない分散型金融)から暗号資産(仮想通貨)を盗んだりランサムウェア(金銭要求悪性プログラム)で攻撃したりして8000億ウォン(約843億円)を稼ぐなど、世界がハッキングの脅威に直面している。
IT強国の韓国もやはり、メタバースや非代替性トークン(NFT)などウェブ3.0時代が開かれるにつれ、各種の攻撃にさらされている。国情院が11月に阻止した国家や国際ハッキング組織をバックにした攻撃だけでも1日平均118万件余りに達する。
脅威が相次ぐいわゆる「ゼロ(0)トラスト」(誰も信じてはならないという意味)時代、防御と同程度に、攻撃を細かく分析することも必要だ。一つのハッカー組織がすべての攻撃情報を持っているわけではないからだ。
複数の攻撃者からの悪性コード関連情報を収集し、必要な対策を講じる必要がある。こうした意味で、国情院は民官協力がさらに不可欠だと判断し、民間企業・政府部署の能力結集を図っている。
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