ソウル・梨泰院(イテウォン)で昨年10月起きた雑踏事故を教訓に、韓国政府は2025年までの市郡区への「災難安全状況室」設置を進めている。ただ、現場では政府の人員削減方針によって設置が難しいという声が上がっている。
災難安全状況室は、専門の担当者を24時間態勢で配置するもの。だが、政府が公務員削減を進め、人件費についても厳しく制限しているため、大多数の自治体で専門の担当者が不足している。
一般の当直職員が夜間の状況室の役割まで担っている自治体もあり、関係者は「全国自治体の多数で当直者が使われている」と指摘する。
別の自治体の場合、他部署にいた職員を兼務で災難安全状況室に派遣している。同自治体関係者は「政府が人材を確保してくれるわけではない。“自治体が自力で対処しろ”と言われても……」と当惑している。
こうした状態のため、多くの自治体では市郡区に状況室が1カ所もない。京畿道(キョンギド)は、31市郡のうち安全状況室運営は10カ所に満たないが、これでもマシなほうだ。
一方で政府は、既存の人員で災難安全状況室の設置は可能だとの立場を取る。政府関係者は「例えば、事実上終息した新型コロナ関連の人員を再配置することも可能だろう」と指摘している。
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