「代替」「機能性」。超高齢化で健康への関心が高まり、食品工学の専門家らは今後、韓国の食卓を代表するキーワードとして、この2つを挙げた。一歩進んだフードテック(FoodTech)を武器に既存の市場をひっくり返す次世代食品の「食欲主導権争奪戦」を覗いてみた。
◇植物性代替卵・牛乳、本当に定着するか
2017年の一時、人気絶頂だった台湾式カステラは、高病原性鳥インフルエンザ(AI)の拡大で卵騒動を引き起こし、姿を消した。材料費の80%が卵なので「直撃弾」を避けることができなかったのだ。
最近も国際穀物価格の上昇による飼料価格の引き上げの影響で卵価格が再び上昇し、卵を主材料とした製菓業界などには赤信号が灯っている。こうした中で、植物性原料で作った「代替卵」が新たな解決策として浮上する。
中央(チュンアン)大学食品工学科の大学生たちが集まって2021年に設立したフードテックスタートアップ「メタテクスチャー(Meta texture)」は「スイートエッグ」を発売した。同社は豆、緑豆、カボチャなど植物性食材と植物性白身生産技術・卵黄香味製造技術・ゆで卵製造工法などを駆使して「植物性代替卵」を作る。
記者が植物性ゆで卵を入れて作ったエッグマヨサンドイッチを味わってみた。
噛むたびに「私、卵だよ!」と言っているような淡白な味は卵にそっくりだった。特に食感が普通の卵を食べる時と近かった。同社の関係者は「人が歯で噛んだ時に発生する食感関連各種データを数値化し、これを活用して実際の白身と90%以上一致する食感を再現した」と説明した。
栄養面でもスイートエッグはずば抜けていた。カロリーは普通の卵(74キロカロリー)がスイートエッグ(49キロカロリー)より高かった。コレステロールは普通の卵が207ミリグラム、スイートエッグが0ミリグラム、飽和脂肪は普通の卵が1.5グラム、スイートエッグが0.02グラムだった。英国でビーガン認証を受け、安心して食べられるという説明だ。何より鳥インフルエンザのようなウイルス流行や飼料価格の暴騰に大きな影響を受けず、卵の材料価格を安定的に維持できるという利点がある。
女王エリザベスが健康のために摂取して有名になったスーパーフード「ヘンプシード(Hempseed)(麻の実)」は老化防止と血管健康に役立つ不飽和脂肪酸が豊富で「若さの種」と呼ばれる。昨年7月に設立されたファインフードラボ(Finefood lab)は、ヘンプシードを主原料とした「植物性代替牛乳」(製品名:ピューロットペンプミルク)を開発した。
同製品は、韓国人によく見られる乳糖不耐症で牛乳をうまく消化できなかったり、ビーガン(菜食主義)献立を追求する消費者に照準を合わせた。
ファインフードラボのキム・スジョン代表は「ヘンプ特有の生臭さや匂いをなくし、柔らかい質感を感じられるようにして動物性牛乳の味をそのまま再現させた代替牛乳だ。ヘンプシードには老化防止と血管健康に役立つ不飽和脂肪酸が豊富でシニア世代に特に人気が高い」と話した。
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