2024 年 5月 19日 (日)
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撤去が近づく「韓国最古のアパート」の現状

  現場ルポ  

19日午前11時ごろの忠正アパートの様子。外壁の緑色ペイントが色あせ、黄色に染まったイチョウの葉のように見える。ソウル市は最近、この建物を撤去することを決めた©MONEYTODAY

ソウル・忠正路(チュンジョンロ)駅の9番出口を出て100メートルほど歩くと、5階建ての古いアパートが見える。外壁は緑色が色あせ、所々ペンキがはがれている。銀杏の葉のようだった。

19日正午ごろ、同アパートの建物を背景に、イ氏(40)が8歳、11歳の息子の写真を撮っていた。ソウル市九老(クロ)区から来たというイ氏は「歴史の勉強として息子たちの写真を撮った」と話した。

京畿道華城市(キョンギド·ファソンシ)に住むペ氏(29)も建物の姿を写真に収めていた。「外国に行けば数十年経った建物がそのまま残って都市の昔の姿を見せてくれている。韓国もそうした建物を少しずつ保存し、歴史を残してほしい」と求めた。

このアパートは撤去を控えた「韓国最高齢」の忠正アパートだ。1937年、日本による植民地時代に建設された。今年“85歳”だ。

アパートのあるソウル・忠正路3街は整備計画上、「麻浦(マポ)路5区域」にくくられる。ソウル市は今月15日、第7次都市計画委員会を開き、この区域の整備計画案を修正可決、忠正アパートを撤去するという結論を出した。一帯は既に2008年、整備区域に指定されている。住民の念願だった開発が目の前に迫ったのだ。

19日午前、忠正アパートの様子©MONEYTODAY

忠正アパートは各階に10世帯ずつ、計50世帯余りが居住している。入居者のうち60%は賃貸という。住民らは建物の空き地の近くでナムルを乾かしたり、ペットボトルを切り刻んで作った植木鉢を置いてサンチュを育てたりしている。

古くなったため、住民の一部は撤去決定を納得している様子だった。忠正アパートで会った60代の住民は「撤去の時がやってきた」と話した。

一方で、撤去に反対する住民もいる。

イ氏(64)は「ここが撤去されれば、どこに行って暮らせばよいのか。政府が代わりの場所に探してくれるのか。アパートの外観は良くないが、中を見れば、まだ使える」と訴えた。

イ氏はこのアパートに5年間住んでいる。家賃は月額30万ウォン。工事現場で日雇いの仕事に従事している。肝臓を患っているそうだ。

4階のある入居者は「家が少し粗末である点を除けば、地下鉄の駅、市街地、学校が近く、住みやすい。追い出さないでほしい」と訴えている。

忠正アパートの真ん中にある煙突©MONEYTODAY

保存価値があるという声もある。アパートに40年余り暮らしているという65歳のA氏は「一番古いアパートなのだから、残すべきではないか」という。

忠正アパートの一部に、日本による植民地時代の建物の特徴が残っている。

上から見下ろすと、アパートは三角形で、真ん中に中央庭園(中庭)がある。中庭には灰色の煙突が建っている。ホテルとして使われた当時、練炭をたいて部屋を暖め、この煙突から煙を出していたという。

朝鮮戦争当時、この地下室には一部のソウル市民と北朝鮮軍が隠れたという。北朝鮮軍が市民を処刑した後、遺体をここに隠したという歴史もある。1980年代には民主化運動を展開していた大学生が、警察に追われてここに隠れたこともあるそうだ。

アパートは名前と使い道は何度も変わった。当初、建設者の豊田種松にちなんで「豊田アパート」だった。朝鮮戦争の際には、国連軍専用ホテルとして使われ、1970年代に入ってアパートに分譲された。

朝鮮戦争の時、外国人記者が撮った忠正アパートの写真(写真=読者提供)©MONEYTODAY

アパートの一部が崩れることもあった。朝鮮戦争時の写真を見れば、アパート前の忠正路は今より狭かった。1970年代後半、忠正路が9車線に拡張される際、アパートの約3分の1が取り壊された。今、忠正路沿いの部屋は8~9坪。他は20~30坪だ。

最近、この建物は文化コンテンツとして再生産された。

2020年に放送された米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)のドラマ「Sweet Home -俺と世界の絶望-」は、ここを背景に制作された。忠正アパートは、人が怪物に変身し、攻め込んできた「古いアパート」の役割を十分に果たした。ドラマはベトナムなど11カ国のチャートで1位を獲得している。

©MONEYTODAY

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