2024 年 7月 25日 (木)
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摂食障害はダイエットではない [KWレポート] 痩せるリスク (8)

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「私は他のことができないから、『勉強でも頑張ろう』みたいに、『ダイエットでもしよう』ということです。プライドが完全に底なのに、成就できる。新自由主義的なセルフデシプリン(self-discipline・自己規律)です。できることがこれしかなければ極端に行ってしまう。なぜならプライドが全くないし、自分は飢え死にしても当然の存在だから」

20年間拒食症を患った経験をもとに「飲み込み練習」という自叙伝を書いた作家のパク・ジニさん(43)は、摂食障害を「ダイエットではなく自害であり、自殺だ」と表現する。「過度なダイエット、間違った方向に進むダイエットという視点だけでなく、子どもたちの人生について真剣に考えなければならない」。パク・ジニさんはこう強調する。

◇「人生における選択の余地が狭すぎる」

作家のパク・ジニさんが拒食症を患うようになったきっかけは、「痩せたい」という美容上の目的とはかけ離れている。

中・高校生時代、うつ病とともに訪れた頻繁な消化不良に悩み、彼女は習慣的に弁当を残すようになった。厳しかった両親から弁当を残すなと叱られ、思春期の彼女には弁当が重い負担に感じられた。

当時は、青少年うつ病に対する社会的認識が広まっていなかった。弁当をこっそり捨てることから始まったパク・ジニさんの病気は、やがて摂食障害につながった。飢えて認知機能が落ちた体では勉強に集中できず、昼間に急激な眠気に襲われる深刻な睡眠障害「ナルコレプシー」のような症状も現れた。

パク・ジニさんは「摂食障害は最近、若い世代が患うようになり、中学生や小学生にも現れている」とみる。

アイドルが痩せているので、子どもたちがそれを見て真似してしまう。「プロアナ」(pro-anorexia・拒食症賛成)に惑わされる、あるいは洗脳される――こんな見方にパク・ジニさんは「そうではない」と反論する。

「今の子どもたちがはるかに不幸だからでしょう。幸せで、やることも多ければ、こんなに痩せた体を見て『私もこうならなければ』とは思わないでしょう。今の子どもたちは競争にさらされ、不安や、良い人生を目指さなければいけないという圧迫が激しい。選択の余地が狭すぎるのです」

作家パク・ジニさん(c)news1

◇潜在能力を発揮させない何か

摂食障害には多様な社会的要因が結びついている――パク・ジニさんが伝えたいのは、このことだ。「新型コロナウイルス感染は、ウイルスが原因であることは明白だ。でも、摂食障害患者の場合、原因や経過、発症理由がすべて違う」

そこで、2月24日から3月2日まで「摂食障害認識週間」行事を企画した。中でも最も関心が集まったのは「当事者セッション」。摂食障害経験者が出演し、家庭内暴力や交友関係の問題など「自身の話」を打ち明けたのだ。

パク・ジニさんによると、ある米国の学者がインタビューで「摂食障害を端的に『体重に関連した病気』だと言うことは、強迫観念から、電灯を消したりつけたりする人を『省エネ関連の病気にかかった』と言うのと同じだ」と指摘したそうだ。

「摂食障害を考えるうえで本当に重要なことは、体重ではなく、他のところにある」。パク・ジニさんはこう繰り返す。

子どもたちがなぜ、幸せを感じられないのか。

なぜ、自分自身を虐待せざるを得ないのか。

なぜ、体重以外に自分自身の価値を感じられないのか。

子どもたちが潜在能力を発揮できないようにしているのは、いったい何なのか……。

「それを見つけ出す必要がある」。パク・ジニさんは力を込めた。

(つづく)

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