2024 年 7月 27日 (土)
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摂食障害の致死率「5%超」説も [KWレポート] 痩せるリスク (11)

(c)news1

韓国で痩せた体を好む現象が流行のように広がり、摂食障害患者は急増している。国民健康保険公団によると、摂食障害患者は2017年に3116人だったが、2021年には4881人まで急増している。

患者の年齢層も若くなっている。20~30代が多かった摂食障害だが、最近は10代の割合が最も大きくなっている。

さらに懸念されることがある。統計外の患者がはるかに多いという点だ。

仁済大学ソウル白病院で摂食障害クリニックを運営しているキム・ユリ精神健康医学科教授によると、摂食障害の有病率は全体人口の3%を占め、韓国だけでも約155万人に達する。

問題は、摂食障害をいわゆる個人の意志薄弱あるいは若い女性の外見強迫という程度の問題として片付けていることだ。それゆえ、まともな治療・予防措置が取られていないのだ。

実際、専門家は「痩せた体つきに憧れる社会・文化に根本的な責任がある」と指摘する。

幼いころから日常的に“痩せた体つきがきれいだ”という偏見を与えられ、平均より太れば「自己管理ができない人」として見下される。そんな社会の傾向がいわゆる「プロアナ」(pro-anorexia・拒食症賛成)を作っている、とみている。

取材チームが接した青少年の多くは、SNSに上がってくる「やせ細った体つき」に憧れたり、不自然に痩せたりしていた。

◇痩せた体に対する相反する二つの視線

プロアナ、あるいは摂食障害を持つ人々に対する韓国社会の認識と態度は否定的なものであり、非難に近い。「結果的に本人の選択によってもたらされた病気ではないか」という見方だ。

一方で、飢えたり、異常に作られたりした体つきに対して「きれいだ」「スリムだ」という肯定的な評価もある。

専門家は、こうした矛盾した態度も摂食障害の主な原因の一つだと指摘する。

過去に拒食症を経験したというパク・ソヒさん(仮名・22)。当時の様子を次のように振り返る。

「一日中、何も食べずに走ってばかりいた。水を一口飲むのが難しいほど、体が壊れていた。でも、周囲の人たちは、私のインスタ写真を見て『きれいだ』と褒める……。私は混乱した」

このように日常的に痩せた体が強要される社会では、プロアナはもちろん、ひいては摂食障害のような精神疾患患者が必然的に量産される。

ペク・サンシク障害センター長のアン・ジュラン氏は「非正常に痩せると、2次的な問題が相次ぐ。うつ病や不安、強迫、パニック障害、中毒などを起こし、ひどい場合には、自殺に追い込まれることもある」と指摘する。

実際に拒食と暴食が繰り返されれば、うつ病などの精神疾患を誘発し、死亡に至ることもある。摂食障害がひどくなると、栄養不足はもちろん、脳神経に問題が生じ、自害をする場合も発生する。

一部には摂食障害による致死率が5%を超えるという分析もある。

(つづく)

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