2024 年 7月 27日 (土)
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手製銃の図面は6500ウォン―決済に5分もかからず (上)

  現場ルポ  

AK小銃の3Dモデリングファイルを確認する3Dプリンティング会社代表©MONEYTODAY

安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件を受け、韓国社会では類似事件の発生を警戒する声が上がっている。凶器として使われかねない銃器の製造マニュアルがインターネット上に出回っており、警察当局は取り締まりを強化する方針だ。

◇「手製銃? 製造できないことはない」

ソウル市麻浦区(マポグ)にある3Dプリンティング会社のチョン・ギファン代表(53)はこう見立てる。図面さえあれば、3Dプリンターで銃を製造できる。チョン代表がオンライン上で銃製造に必要な3Dプリント図面を手に入れるまで、5分とかからなかった。

つまり、韓国でも手製銃の製造は決して難しいことではないのだ。

チョン代表は、デジタルデザインファイル共有サイト「Thingivers」や3Dモデルサイト「TurboSquid」など、3Dプリント図面を共有する外国オンラインコミュニティに接続し、そのモデルを示した。

そこで「銃(gun)」「拳銃(pistol)」「小銃(Rifle)」などの用語を入力して検索すると、ほどなく銃器製造に必要な3Dモデリングファイル(完成品の形態と実際の寸法などをデータで保存したファイル)と図面を見つけることができた。これらのファイルには、銃を構成するすべての部品の数値が入っており、そのまま設計の図面として活用できる。

海外のオンラインコミュニティでは、米主要都市の警察や米連邦捜査局(FBI)要員が使用する「Glock 17」や、ロシア軍が使用する「AK-47」などの3Dモデリングファイルが取引されていた。韓国軍の小銃「K2」の3Dモデリングファイルも950ドルを支払えばダウンロードできる。

「高いようにみえるが、ファイルを一度だけダウンロードすれば、K2を無限に製造できる」。チョン代表はこう懸念する。

いわゆる「ゴーストガン(Ghost gun)」と呼ばれる手製銃の図面は、さらに容易に見つけることができた。あるサイトでは、月購読料5ドルを払えば、数十種の手製銃の図面をダウンロードできる。

海外のオンライン3Dプリンティング図面共有コミュニティに共有された「Glock 17」の取っ手部分。実測データが含まれている©MONEYTODAY

◇鉄工所で製造可能

一般の3Dプリンターで作られた銃器は耐久性が弱く、実際の銃器として使用できない。だが、あるメーカーの3Dプリンターを使用すれば、120度でも変形せず、耐久性も強い。

「弾薬の爆圧と熱に耐えなければならない薬室(銃身の末端にあり発射薬が押し込まれた場所)などの内部構造や部品の一部を金属で製造し、外側はナイロン12を使えば、3Dプリンターで銃器製造が十分に可能だ。ゴーストガンは構造が簡単で、製造は容易だ」

チョン代表はこう指摘する。

銃製造のために、1台5億~15億ウォンもする金属3Dプリンターを個人が購入するのは容易ではない。だが韓国にも3Dプリンターの素材として金属を使うメーカーはある。

こうしたメーカーが疑念を抱かないようにするため、銃の密造をたくらんでいる者は、部品を細かく分けて複数のメーカーに発注したり、部品の一部だけ海外メーカーに注文したり、ということもできる。

仮に、韓国の金属3Dプリンティング業者に「Glock 17」の取っ手と本体部分を注文する場合、製造期間は2~3日、費用は150万~200万ウォン程度だという。

©MONEYTODAY

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