2025 年 4月 25日 (金)
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尹錫悦氏弾劾で台頭“極右20~30代”…怒りの声はなぜ暴力に変わったのか [韓国記者コラム]

1月19日未明、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(当時)の逮捕状が発付された直後、ソウル西部地裁に侵入し騒動を起こす支持者ら(c)news1

「太極旗部隊」と呼ばれた保守系高齢者らが韓国大統領だったパク・クネ(朴槿恵)氏の弾劾政局で路上に立ったとすれば、ユン・ソンニョル(尹錫悦)氏の弾劾局面では、20~30代の一部男性がソウル西部地裁や憲法裁判所の前に姿を現した。

インターネット掲示板での主張を超え、「愛国」を掲げて現実の広場へと飛び出した彼らは、自らを“極右”であることに誇りを持つと語った。しかし彼らの「愛国」は、裁判所への侵入や脅迫といった暴力的行為として現れた。

2025年1月19日未明、当時のユン大統領への逮捕状が発付されたとの報道を受け、ソウル西部地裁には一部の支持者が後門から突入。建物の備品を破壊するなどの騒動を起こした。この事件では140人が立件された。

注目されるのは、こうした行動に加わった者の構成だ。法廷で明らかになったところによると、大学生、YouTuber、会社員、自営業者のほか、証券マン、歯科医師、薬剤師まで多様な職業層が含まれていた。警察によると、逮捕者のうち46人(51%)が20~30代だった。

この“極右化した20~30代”は、これまでの60~70代が大規模な集会で「勢い」を示すことに重きを置いたのとは対照的に、直接行動や物理的暴力を用いて政治的意見を表現する傾向を見せた。

問題は、こうした行動の多くがインターネットコミュニティでの「模擬」が現実化したものだった点だ。DCインサイドやILBEなどの掲示板では、裁判所の構造や警備情報を共有し、現場の進入ルートまで分析する投稿が相次いだ。

1月16日には、ソウル西部地裁の塀の高さや出入り口の位置を分析した投稿が上がり、翌日には警察の配備状況、検察関係車両の情報がリアルタイムで共有された。3月7日には憲法裁判所の構造図や周辺地図を用いた侵入計画とみられる投稿も確認された。

背景には、弾劾政局を契機に政治的関心を持ち始めた青年層の変化がある。無限競争の中で経済的な悩みに追われてきた若年層は、パク・クネ氏の大統領職罷免やその後の政権下で高騰する住宅価格や格差の拡大に直面し、社会への不満を政治的な形で表現するようになった。

とりわけユン・ソンニョル氏の任期中に起きた「非常戒厳」宣布は、若者たちにとって政治参加への“転機”となった。弾劾に賛成する集会では応援棒を、反対する集会では赤色の警告灯を手にし、彼らは自らの存在を主張した。

ただ、専門家はこの動きを単純に“極右”と断じるのは危険だと指摘する。高麗大学のキム・ユンテ教授は「過剰な一般化は避けるべきであり、暴力やフェイク情報に基づく行動が問題である」と述べた。

また、弾劾決定の日に大きな混乱や負傷者が出なかったことについては「西部地裁事件以降、社会全体の市民意識が成熟した証拠だ」と分析されている。

嶺南大学のホ・チャンドク教授は「西部地裁での事件は若者の一時的な感情の爆発だったが、それ以降、韓国社会はより冷静な対応を見せている」と評価した。【news1 キム・ミンス、シン・ユナ記者】

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