家族扶養負担を抱え込んだ「ヤングケアラー(家族世話青年・青少年)」は韓国だけの問題ではない。
英国とオーストラリア、日本などの国は、ヤングケアラーが同年代の若者と同じような日常生活を送ることができるよう多様な支援をしている。
家族の面倒を見る青年たちの役割を「社会安全ネットワーク」の一環として認め、彼らが家族の扶養負担のため貧困状態に陥らないようにすることに力点を置いている。
◇英豪のプログラム
ソウル市福祉財団などによると、英国の「児童や家族法」では、障害や身体・精神疾患、薬物などの問題を持つ家族・親戚の世話をする18歳以下の青少年をヤングケアラーと分類している。18~24歳の後期青少年の場合は、ヤングアダルトケアラー(Young Adult Carer)と位置づけている。
英国は児童福祉法内のヤングケアラーの定義・権利・支援・発掘方法などを規定し、さまざまな形で支援をしている。まず、ヤングケアラー補助金を年間約308ポンド(約5万6000円)を支給する。扶養負担が重いため、ヤングケアラーが「自分のために使うお金がない」という声を受け、補助金によって個人ニーズ充足を図ることを決めた。
ここに支援機関「Carers Trust」は、ヤングケアラー教育訓練プログラムの運営、緊急支援などを担当し、オンラインプラットフォーム「The Children’s Society」は居住地内の支援機関の案内やヤングケアラー認識向上の役割を遂行する。
オーストラリアは、障害と身体・精神疾患、薬物などの問題の家族・親戚・知人の世話をする25歳以下をヤングケアラーと定義する。2010年に「ケアラー認定法(Carer Recognition Act2010)」を制定し、本格的な支援に乗り出した。
学費補助金プログラムが代表例だ。ヤングケアラー1人当たり年間3000豪ドル(約29万円)を支給する。
補助金を受けるヤングケアラーのうち55%が補助金を受けた後、アルバイトをやめたり時間を減らしたりしたことがわかった。これを通じ、ヤングケアラーは社会的な絆の増進、日常的なストレスの減少などの効果を上げたと評価されている。政府は合わせてヤングケアラーを対象に自己主導コーチングや緊急休息、ケア常識などの支援サービスも提供する。
◇日本やアイルランドなどの取り組み
25歳以下をヤングケアラーとして定めたアイルランドは支援機関「Family Carers Ireland Center」とオンラインプラットフォーム「Family Carers Ireland」を通じて支援する。支援機関では、介護者支援マネージャーが、ヤングケアラーへの個別面談や相談・家庭訪問・介護などのサービスを案内する。10~24歳のヤングケアラーが図書購入・オンライン講義などを利用する時、割引特典を受けられるカードも発給する。
スウェーデンは、18歳未満をヤングケアラーと見て、保護する責任のある両親や家族全体を支援する。また、精神疾患のある親のいる児童にはサマーキャンプのような休息を提供する。
アジアの中では、日本が積極的だ。
2020年度にヤングケアラーに対する初めての全国調査を実施した。18歳以下のヤングケアラーを対象に、早期発見を通じた相談と家事育児支援などを提供すると発表した。
地方自治体の中では、埼玉県が2020年3月、全国で初めてヤングケアラーを支援するための条例を制定した。この条例は18歳未満をヤングケアラーとし、「適切な教育機会を確保し、心身の健やかな成長や発達または自立を図ることができるようにしなければならない」と規定している。
(おわり)
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