2024 年 10月 11日 (金)
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学歴・コネへの依存度が高く [KWレポート] 外国人起業の高いハードル (5)

2022年11月、サウジアラビア投資相と言葉を交わすイ・ヨン(李永)中小ベンチャー企業相(中小ベンチャー企業省提供、記事とは直接関係ありません)(c)news1

「韓国ベンチャーキャピタル(VC)とスタートアップ業界は、人的ネットワークへの依存度が高い。言語障壁もある外国人起業家の立場では、これを突き破って投資誘致を受けるのは簡単なことではない」

韓国内で宅配スタートアップ「シャトルデリバリー(Shuttle Delivery)」を運営しているジェイソン・ブッテ(Jason Boutte)代表=米ルイジアナ州レイクチャールズ出身=は、韓国のスタートアップを取り巻く環境についてこう語った。

さらにブッテ代表は「学歴や地縁など人的ネットワーク依存度が高く、閉鎖的な環境の中で、外国人創業家が生き抜くのは容易ではない」と話した。

ブッテ代表は2014年、同社の前身「Ynot-Takeout」を創業し、韓国スタートアップ業界に参入した。その後、2016年にシャトルデリバリーを共同創業した。

10年以上にわたり韓国のスタートアップ業界に携わってきたのに、韓国VCから投資誘致は受けられなかった。ブッテ代表は「この間、韓国で人的ネットワークを築くのに全力を注いできた」とし、「関係を築きつつ、『韓国を拠点に成長し続ける企業だ』という信頼を与えることが重要だ」と強調した。

韓国国内のスタートアップコミュニティ「ソウルスタートアップ」を運営する「サウスベンチャーズ(SOUTH VENTURES)」のマルタ・アリナ(Marta Allina)理事=ポーランド出身=は次のように語る。

「特に難しいのはスケールアップだ。外国人スタートアップが投資誘致をしようとすると、投資家は『いつ、国に帰るかわからないじゃないか』と聞いてくる。韓国でのビジネスにおいて、どれだけ成長しているのか示しても、なかなか信頼してくれない」

2019年に韓国でファッションプラットフォームを創業したある外国人は最近、事業拡張のために追加投資の受け入れを模索した。だが「韓国人職員の採用数が少ない」という理由でそっぽを向かれたという。

オープンイノベーションが進まないことも課題だ。

オープンイノベーションとは、製品開発や組織改革など多様な分野で、自社以外の組織が持つ知識や技術を取り入れて「自前主義」から抜け出すことだ。

香港出身の創業家が設立した電気自動車充電スタートアップは2019年、韓国大手CVC(企業型ベンチャーキャピタル)とオープンイノベーションのための協約を結んだが、3年間、目立った成果はない。

VC業界もこうした指摘をある程度、認めている。

CNTテックのチョン・ファソン代表は「K-スタートアップ・グランドチャレンジ(韓国中小ベンチャー企業省が2016年に始めた外国人創業プログラム)を始めた当時は閉鎖的な雰囲気があった」と振り返る。その一方で、「K-ブランド人気で外国人の韓国創業需要が増え、国内の雰囲気も徐々に変わっている」という。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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