プラスチックリサイクルは“行けば良い道”ではなく“必ず行かなければならない道”になった。グローバル規範として位置づけられているからだ。従わなければミネラルウォーター1本の売買も難しくなる。ペットボトルからビニールまで、すべてにとってリサイクル可能な循環経済生態系が重視されるためだ。
◇カギは2025年
今後5年内にプラスチックパラダイムが変化する。リサイクルプラスチックを一定程度使わなければ、物を売ることも買うこともできない新たな時代だ。企業は、変化を選ばなければ淘汰されるという切迫感のため、慌ただしく動いている。
グローバル消費財企業は2025~30年前後に再生原料使用比率を劇的に高めることを計画している。
コカコーラは2025年までにすべての包装材に使う再生原料の割合を25%まで引き上げるのが目標だ。2030年の目標値は50%だ。アディダスは来年から靴・衣類などすべての製品生産にリサイクルプラスチックだけを使う。ペプシコ(25%)、ネスレ(30%)、ユニリーバ(25%)、ロレアル(50%)、P&G(50%)、エスティローダー(最大100%)なども2025年を基準に目標値を提示した。
国際的に「プラスチック循環経済」が標準になっているためだ。
プラスチックの排出を減らし、作られたプラスチックは必ずリサイクルしなければならない――そんな時代を控え、先制的に措置を取っているわけだ。
◇製造業全般で新ビジネス
米カリフォルニア州の場合、昨年からプラスチック容器はリサイクル原料を利用するようにしている。
リサイクル原料の割合目標は、2025年は25%、2030年は50%だ。ニュージャージーなど他の州都も関連規定の制定に乗り出した。欧州連合(EU)は、2025年までにすべてのペットボトルに25%、2030年までにすべてのプラスチック瓶に30%のリサイクル素材を使わなければならない。「プラスチックゼロ」をリードするフランスは2025年1月1日までにすべての使い捨てプラスチック包装材リサイクル100%達成を明らかにした。
昨年の国連環境総会で176カ国は2024年までに法的拘束力のあるプラスチック関連条約を作ることを決議した。これは循環経済体制が自動車や携帯電話など産業全般に広がることを示唆する。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は「消費財包装材、家電消耗品、飲食物容器など、製造業全般にわたり新たなビジネスが到来するだろう」と予測している。
グローバルなトレンドに詳しい韓国の会計法人「サムイルPwC」は、グローバルなプラスチックのリサイクル市場規模が今年は486億ドルに膨らみ、2027年には638億ドルになると展望している。米コンサルティング「マッキンゼー・アンド・カンパニー」はリサイクルプラスチック市場が2050年、プラスチック市場の60%台になると予想している。
◇「物を売ることができなくなる」
韓国政府と企業も変わるしかない。
環境省はポリエチレンテレフタレート(PET)生産企業に対して2030年までに「再生原料比率30%」を要求した。サムスン電子は2050年までにスマートフォンやタブレットPCなどの機器に100%リサイクルプラスチックだけを使う。SKジオセントリック、LG化学、ロッテケミカルなどは2024~25年にプラスチックの化学的リサイクルが可能な工場を完工する。
しかし、リサイクルプラスチックの需要に対応するのは容易ではない。企業の対応速度がやや遅く、量が限定的だからだ。
韓国に新設される主要工場のプラスチック処理量を合わせても、年間50万トンに及ばない。それさえも「手作業」で進められる回収・選別の問題で、量の確保が難しい。
業界関係者は「国内企業の工場完工年度が『2025年』前後に合わせられたのは偶然ではない。物をまったく売ることができないという状況に直面する恐れがあるためだ」と指摘している。
(つづく)
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