2024 年 7月 27日 (土)
ホーム経済OTT地上波拒絶したウ・ヨンウに150億投入、10倍稼いだ (下)

地上波拒絶したウ・ヨンウに150億投入、10倍稼いだ (下)

4月、KTグループメディアデーでオリジナルドラマラインナップを公開するKTスタジオジニのキム・チョリョン代表(写真=KT)©MONEYTODAY

ウ・ヨンウの成功は、テルコ(通信企業)からデジコ(デジタルプラットフォーム企業)企業へと転換しようとしているKTに、相当なモチベーションを与えたとみられる。

KTは昨年、KTスタジオジニーを発足させ、投資・製作・流通につながるメディアコンテンツ事業に本格的に参入した。KT傘下の「KTスカイライフ」や「olleh tv」など「IPTV」(インターネット経由で視聴する有料放送)や「現代HCN」などの有料放送からOTTサービスの「seezn(シーズン)」、音楽配信サービス「Genie Music(ジニーミュージック)」など多様なメディアプラットフォームに、「ストーリーウィズ(STORYWIZ)」「KTH」「ナスメディア(NASMEDIA)」などのコンテンツ企業までつなげて、相乗効果を発揮するという戦略を立てた。

KTスタジオジニー発足当時、KTのク・ヒョンモ代表は、韓国国内コンテンツ事業者の中で最も大きな規模の投資を実行するという抱負を語ったことがある。2023年までに1000以上のオリジナルIP(知的財産権)と100以上のドラマIPを発掘し、ドラマ当たり最大500億ウォン、全体で4000億ウォン以上を投資すると明らかにした。

しかし、当初はこうしたKTのコンテンツ事業に対する期待は高くなかった。失敗する確率が高く、長期的な判断力と識別力が必要なコンテンツ事業を、通信企業であるKTが運営するのは容易ではないという評価だった。コンテンツ事業で大きな成功を収めた経験もなかった。

こうした市場の懸念を払拭するかのように、KTスタジオジニーは発足2年足らずで、注目すべき成果を見せた。地上波で断られたウ・ヨンウに約150億ウォンの制作費を投入して大ヒットさせることに成功したのだ。

(KT提供)©MONEYTODAY

◇理想的な成功方程式

「ウ・ヨンウ」シンドロームは、源泉IPを通じた成長を図るメディアコンテンツ会社にとって最も理想的な成功方程式だ。

成功したIPを保有すれば、その後の拡張を通じて追加の収益まで上げることができるからだ。製作会社であるA Storyは「ウ・ヨンウ」の経済的波及効果が1兆ウォンを超えたと推算した。シーズン制やIPから派生する他のコンテンツから、さらに大きな収益を狙うことができる。これは「キングダム」や「イカゲーム」などネットフリックスの投資を受けた製作会社が、製作費の他に追加収益を分配されなかったこととは対照的だ。このため、娯楽大手CJエンターテインメント(CJENM)やカカオエンターテインメントなど、韓国国内コンテンツ企業は独自のIP確保に集中している。

◇認知度がほとんどなかったチャンネル

大衆の認知度がほとんどなかったチャンネルENAが収めた成果という点でも、「ウ・ヨンウ」の成功は意味がある。

ENAはskyTVとメディアジニーが手を握り、再スタートして3カ月で地上波を上回る視聴率を記録した。KTは最近、自社IPTV「olleh tv」では、ENAのチャンネルを従来の29番から1番に変更した。衛星放送のKTスカイライフではsky TV時代からENAが1番だった。KT関係者は「チャンネル変更は年に一度だけ可能なので、ウ・ヨンウ放映前からチャンネル改編は議論されてきた。短期的モメンタムのためではなく、長期的観点でチャンネルを変更した」と説明している。『ウ・ヨンウ』のためではないという説明だが、チャンネル変更の相乗効果を期待しているのは明らかだ。

実際、「ウ・ヨンウ」によってチャンネル認知度が上昇し、ドラマのスポット広告はもちろん、チャンネル全体の広告単価も上がった。KTスカイライフの今年第2四半期の広告収益は、四半期最大実績である153億ウォンを記録した。SKブロードバンド系列チャンネルSがまだ定着していない状況とは対照的だ。

◇「基礎体力を固めた」

業界では「ウ・ヨンウ」がすでに製作費の10倍以上を稼いだと見ている。これに支えられ、KTは2025年までにメディアコンテンツの売り上げを5兆ウォンまで引き上げるという目標を立てた。

業界関係者は、「ウ・ヨンウ」シンドロームを継ぐKTスタジオジニーの次期作に注目している。

KTスタジオジニーのキム・チョルヨン代表は今年4月、メディア懇談会で「KTスタジオはこの1年間、オリジナルIPの確保と製作能力強化に集中し、KTだけの差別化されたコンテンツを披露するための基礎体力を固めた。今年からはウェルメイド(Well-Made)ドラマを通じてENAチャンネルとolleh tvに新たな価値を付与し、韓国内外の多様な事業者とのパートナーシップを通じて流通チャンネルと製作スペクトラムを広げていく」と強調している。

©MONEYTODAY

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