
米国によるベネズエラ・マドゥロ政権の打倒作戦が、国際原油価格とウォン相場を通じて韓国経済に複雑な影響を及ぼす可能性が高まっている。中南米発の地政学的リスクが沈静化し、国際原油価格の下落が期待される一方、不安心理によるウォン安・ドル高がその効果を相殺し、国内物価に与える影響は「わずか」にとどまる見通しだ。
今回の事態は1989年の米国によるパナマ侵攻になぞらえられており、市場では「早期安定→制裁解除→原油供給増→価格下落」というシナリオが意識されている。
米国は現地時間3日早朝、ベネズエラを空爆し、マドゥロ大統領を拘束。建前上は「麻薬テロ撲滅」だが、世界最大規模の原油埋蔵量を持つ同国への戦略的介入との見方が強い。
だが、事態発生後もWTI(米国産原油)価格はむしろ下落。一時は1バレル=58.32ドルに上昇したものの、現在は57ドル台に戻っている。
韓国の証券業界では「今回の武力介入がパナマモデルのように短期収束するならば、制裁解除や米石油企業の進出が進み、原油価格は下落に向かう」との見方が優勢だ。
ただ、原油価格が下がっても、ウォン安によりその恩恵を享受できないという指摘も多い。韓国では株式市場が活況を呈する一方で、ドル・ウォン相場は再び1440ウォンを突破。地政学的リスクがドル高を誘発し、ウォンが下落している。
その結果、輸入原材料の価格は依然として高止まりし、原油安によるコスト軽減効果は限定的になる見通しだ。
さらに、韓国の物価構造は原油に対する感応度が低い。KB証券の分析では、原油が5%下落した際の米国の消費者物価指数(CPI)下落効果は0.1~0.2%ポイントに達する一方、韓国では0.1%未満にとどまるとされる。
背景には、公共料金の価格硬直性(電気・ガスなど)や、企業から消費者への価格転嫁の遅れなどがある。
専門家は、今回のベネズエラ情勢が「イラク型の泥沼化」ではなく、「パナマ型の早期安定」に至るかが重要だと口を揃える。万一、事態が長期化すれば南米リスクが新興国全体に波及し、資金流出や為替の変動性拡大といった副次的被害が懸念される。
専門家は「今後の展開次第で、韓国のインフレ対策にとって追い風にも逆風にもなり得る」と警鐘を鳴らしている。
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