2025 年 11月 10日 (月)
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北朝鮮、極超音速弾道ミサイル「火星-11マ」を初公開…短・中・長距離を網羅する“全区間打撃体系”を誇示

平壌で開幕した武装装備展示会「国防発展–2025」=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮が朝鮮労働党創建80周年(10月10日)を目前に控え、極超音速弾道ミサイルをはじめとする新型兵器を一斉に公開し、軍事的威嚇の度合いを一段と高めた。

平壌で10月4日開かれた武装装備展示会「国防発展–2025」には、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が出席し、極超音速短距離弾道ミサイル(SRBM)「火星-11マ」や超音速巡航ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを公開した。短距離から長距離までを網羅する「多層打撃体系」を完成させたと誇示した形だ。

「火星-11」シリーズは、ロシアのイスカンデル型を模倣した「KN-23」の制式名称であり、今回登場した「マ(馬)」型は弾頭部分に極超音速滑空体(HGV)を搭載した改良型とされる。マッハ5以上の速度で低空滑空し、韓米の防空網を回避して目標を攻撃できる可能性があると分析されている。

キム総書記は展示会で「韓国地域における米軍の軍事力増強に比例して、我々の戦略的関心も高まった」「特別資産を重要標的に割り当てた」と述べ、韓国の主要軍事施設を直接狙う意図を示唆した。

韓国の軍事専門家であるユ・ヨンウォン議員(国民の力)は「中・長距離ミサイルに続き短距離弾道弾まで極超音速化したことは、韓米ミサイル防衛網の突破を狙ったもの」と分析。「発射プラットフォームの多様化で、実戦配備の可能性が高まった」と指摘した。

展示会ではまた、ロシア製3M-54E対艦巡航ミサイルに酷似した超音速巡航ミサイルも登場。終末段階でマッハ2.9に達する速度を持ち、北朝鮮海軍の「崔賢級」駆逐艦などに搭載されれば、韓国艦隊に実質的な脅威となるとみられる。さらに、移動式発射台(TEL)搭載の多連装ロケット車両も公開されたが、映像では一部がぼかされており、ロシアとの技術協力を隠す意図があるとの見方も出ている。

また、米本土攻撃用の大陸間弾道ミサイル「火星-18型」「火星-19型」も登場し、北朝鮮が短・中・長距離を網羅する「三軸打撃体系」を確立したと主張した。さらに新型戦略SLBMや対潜ミサイル、ロシアの「パンツィリ」型地対空防御システムなども展示され、海上・空中・陸上を含む多様な戦力強化が示された。

労働新聞は「今回の展示会は核抑止力を基盤とする国防力の現代化・高度化の成果を示すもの」と報道し、「AIなどの先端技術が導入され、未来戦への適応力が高まった」と強調した。キム総書記も「軍事力は絶えず更新されなければならない」と述べた。

専門家の間では、今回の展示が10月10日に予定される党創建80周年の閲兵式に先立つ「事前の武力誇示」であり、北朝鮮が対米交渉を前に軍事的カードを強化する狙いがあると分析されている。特に短距離極超音速ミサイルの実用化は、韓国の防空体系(KAMDやTHAAD)に深刻な負担を与える可能性が高く、韓米連合の迎撃能力強化が急務とみられる。

(c)news1

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