
北朝鮮が「世界に類のない極上の観光地」と自賛してきた元山葛麻海岸観光地区について、外国人観光客の受け入れを一時的に中断する方針を明らかにした。北朝鮮当局が運営する観光情報サイト「朝鮮観光」は16日、同地区について「外国人観光客は暫定的に受け入れていない」と告知した。
北朝鮮は7月1日、国内観光客向けサービスを開始したと発表したものの、外国人観光客については具体的な案内を控えていた。ただし、国連制裁の例外とされる観光産業を通じた外貨獲得が目的とされ、外国人観光の再開に向けて動くものと見られていた。
実際、英BBCは、今月初旬にロシア人観光客が葛麻地区を訪れ、ロシアの旅行代理店が8月にも2回の団体旅行を予定していると報じた。
さらに12日にはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が元山を訪れ、ロシアのラブロフ外相と面会した。これは観光地区をアピールする意図があったとの見方が強い。ラブロフ外相との会談で、キム総書記は「開業後初めての外国人のお客様」と述べたという。
こうした中、外国人観光の突然の中断は、想定よりも外国人観光需要が低調だったことや、外国人によって北朝鮮の現実が外部に伝わることへの懸念が背景にあるとみられる。
実際、ラブロフ外相の訪問団に同行したロシアの記者は、北朝鮮が公開した葛麻地区の風景が、住民を動員して演出されたものだったと報じており、内部実態の露呈に神経をとがらせている様子もうかがえる。
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