2024 年 7月 27日 (土)
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分野別専門医の雇用を増やせ [KWレポート] 救急病院のたらい回し20年 (2)

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救急救命室に来院したが治療を受けられず、他の病院に転送される、いわゆる「救急救命室たらい回し」の半数は、専門医不在などによる「処置不可」のためだということがわかった。病院が救急救命室内の専門医を雇用すべきだという提言が出ている。

保健福祉省の資料によると、昨年、救急室に患者が来院したケースは769万4473件あり、このうち1.7%である12万7355件が転院措置とされた。

救急救命室の転院措置を受けたケースの48.8%である6万2203件が「処置不可」のためだった。

そのうち74.3%である4万6233件は、医療人材や施設、装備価格などが備わっておらず、普段から該当疾患者の診療をしておらず、その時点でも専門医がおらず、診療ができず転院したケースだった。残りの1万5970件は普段、該当疾患患者を診療してきたが、当時、突然の人手不足、他の手術などで応急手術や処置が不可能な場合だった。

消防庁の資料によると、2018~22年、救急隊が初めて到着した病院で、患者を受け入れず、他の病院に再移送した件数は3万7218件だ。再移送の理由は、専門医の不在が1万1684件(31.4%)で最も多く、病床不足(5730件・15.4%)が後に続いた。

◇医師の効率的な管理

医師不足は深刻だ。2021年7月1日から昨年6月30日までの全国の救急医療機関の利用者数は724万869人である。救急医学専門医1人が4407.6人の患者を担当し、1日あたり約12人の救急患者をみたことになる。

また、救急医がいても急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、重症外傷などの場合には、心臓内科、神経科、外科などの担当専門医でなければ診療は難しい。子どもの患者の場合でも、小児青少年科専門医がいないと追い返されるケースが多い。

ソウル大学医科大学医療管理学科のキム・ユン教授は次のような見解を示す。

「救急室の分野別専門医を大学病院教授として総合病院に雇用して増やす必要がある。健康保険報酬を上げる形で雇用すべきだ。30カ所の圏域応急医療センター内の救急室専門医数を2倍に増やすには、1人当たり3億ウォン(約3286万円)ずつ与えるとした場合、1200億ウォン(約130億円)程度がかかるが、救急室のたらい回しを解決するためには有効だろう」

効率的な人材管理のための「医療人材支援管理院」のような機構が必要だという見方もある。

延世(ヨンセ)大学医科大学予防医学教室のチャン・ソンイン教授は「専門医が絶対的に不足しているのではなく、24時間対応できるレベルの専門医が病院にいない。そのため、人材を直接支援し、彼らを効率的に管理できる機構である“医療人材支援管理院”を整備すべきだ」と強調する。

(つづく)

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