専門家たちは入営延期年齢の制限を緩和することが一つの方法になりうると指摘する。しかし、公平性の議論が起こり得るだけに、国民的合意がまず先だ。現在、兵役法上、満30歳を超えると入隊延期申請ができない。
軍法務官出身のユン・ビョングァン弁護士は「全盛期を継続できるよう兵役に就かなければならない制限年齢を上げることも代案になるかもしれない。ただ、芸能界やスポーツ界の特恵になりうるので、公平性を考慮して国民感情に合うか検討が必要だ」と話した。
西江大スポーツ心理学科のチョン・ヨンチョル教授も「特殊性を考慮して徴集を猶予したり、時間をさらに与えて全盛期が過ぎた後に義務を履行したりすることも代案になり得る。もっとも、種目ごとに全盛期が異なり、基準が確立されていない状況で実行するわけにはいかない」と指摘する。
そのうえで、次のように提言した。
「“この道でしか生きていけない”という『エリート選手教育課程』を改善して、必ずしもスポーツでなくても、他の方法で幸せに暮らしていけるというロールモデルが出てくるようになれば、兵役不正が解決されるだろう」
◇ブローカーの処罰強化を
今回の大規模兵役不正事件で注目すべき点は、一般人も多数含まれているという点だ。過去の兵役不正は高位公職者の息子、芸能人、スポーツ選手がほとんどだった。
インターネットブログ、「知識iN」(=日本のYahoo!知恵袋のようなサービス)とエキスパート(専門家の質疑応答)らが兵役ブローカーの営業部隊となり、一般人でも簡単な検索だけで兵役逃れの情報に接することができたからだ。
専門家たちはまず処罰を強化することが必要だと提言する。
兵役逃れだと確定すると、兵役法86条によって1年以上5年以下の懲役に処される。しかし、ユン弁護士は「実際の量刑は大部分が1年未満で、執行猶予だ」と説明した。
一方、行政書士のウ・ジヨン氏は次のように指摘する。
「他人の金をだまし取った横領も懲役5年、詐欺罪も懲役10年の判決が出るが、国民の義務である兵役を不正に逃れた人に懲役1~5年の量刑は軽すぎる。法が強化されれば兵役不正は恐ろしい犯罪だという認識が浸透し、一般予防になり得る。兵役逃れを金もうけの手段とするブローカーは、一般的な兵役逃れ者よりさらに処罰を強化すべきだ」
(つづく)
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