2025 年 4月 24日 (木)
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介護は「当たり前」じゃない…知られざる「韓国のヤングケアラー」の実態

32歳の会社員チャン・ドゥウォン氏=世宗大学(c)NEWSIS

「母の体をかきながら、一緒に死んだ方がましではないかとまで思った」――。韓国の会社員チャン・ドゥウォンさん(32)は2017年から乳がんを患う母の介護者として生きてきた。事業に失敗した父に代わって生計を支えるため、アルバイトを転々としながら家庭のケアまで一手に担っているのだ。

彼のように病気や障害のある家族を日常的に支える34歳以下の若者は「ヤング(家族)ケアラー」と呼ばれる。しかし、多くの場合、当人も周囲もその存在を「ケア労働」と認識していない。チャンさんもその1人で、当初は「母が病気だから当然介護すべき人間」というふうにしか考えていなかったという。

現在、全国87の自治体がヤングケアラー支援に関する条例を整備しているが、実際の制度運用は進んでいない。背景には「申請主義」に基づく韓国の福祉制度がある。自ら申請し、資格を証明しなければ支援は始まらない。つまり自身がケアラーであるという認識がなければ支援にもたどり着けない。

チャンさんは「突然親が病気になったような場合、なかなか自分をヤングケアラーと定義できない人が多い」と訴える。

ある青年は3歳の時に脳出血で倒れた母を長年介護している。現在も1級障害者として寝たきりの状態だ。こうした「長期ケア」が構造化してしまうことに専門家は強い危機感を示す。

国会立法調査官のホ・ミンスク氏は「ケアラーとして長年拘束されることは国家の介入失敗を意味する。青少年・青年期は趣味、学業、健康など本来享受すべき活動がある」と指摘。「他の同世代と同じように将来の準備に十分な時間と支援が保障されるべきだ」と述べ、精神的サポートの必要性も強調した。

また、「30代後半にもなれば、ある程度のケア労働は可能になる。青年期にはケア労働に特化した支援体制を構築し、若者が長期的にケアラーとしてとどまらないようにすることが重要だ」と提言している。

(c)NEWSIS

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