◇実績をどう評価すべきか
BTSの兵役特例をめぐる問題をどうとらえればよいか。
大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「純粋芸術家も兵役特例を受けている状況で、大衆芸術家だから受けられないというのは問題がある。これまでとは異なり、スポーツスターだけでなく大衆芸術家も、純粋な芸術家のような役割や国威宣揚を十分に果たせる時代であり、恩恵も同時に受けなければならない」と話した。
一方で、大衆文化芸術家の兵役特例を提供する場合、基準になり得る賞や米ビルボードチャート順位などが悪用される余地が大きい、という指摘もある。
ビルボードやアメリカンミュージックアワードなど民間機関が主管する賞を実績とするならば、社会的な信用をいかに評価すべきか、大型企画会社やファンダムが乗り出して、こうした賞を操作したりするという可能性も提起されている。
また、俳優など他の大衆芸術従事者との公平性問題もある。
キム・ホンシク大衆文化評論家は次のように指摘する。
「少なくともBTSをはじめとする大衆文化芸術家の兵役特例の基準には、政府が授与した文化勲章程度の基準が必要だ。BTSを除けば文化勲章を受けられるアイドルグループがないため、企画会社側はチャート順位や、人気に伴う受賞実績などを基準にするよう要求するだろう」
BTSは2018年、花冠文化勲章を受けている。
◇「与野党合意は十分に可能」
BTS兵役特例に対する世論調査の結果も食い違っている。
世論調査機関「リアルメーター」が今月8日に発表した調査(今月3~6日に全国18歳以上2000人対象)では「BTS代替服務への転換」同意可否について、67.5%が「同意する」と答えた。
一方、4日に別の世論調査専門業者「チョウォンC&I」が実施した調査(全国有権者1001人対象)では「BTSが兵役義務を果たすべきだ」が54.1%、「兵役特例の恩恵を」(40.1%)を上回っている。
BTSメンバーが入営通知を受けるまで3カ月となった今、ボールは国会に渡された。軍関係者は「事実上、国会で法改正がなければ、変化が生じにくいと思う」と話した。
国会国防委員会には現在、大衆文化芸術家を兵役特例対象に加える兵役法改正案がとどめられている。
明知大政治外交学科のシン・ユル教授は「基本的にBTS兵役特例に賛成する」としながらも「今後も同様の事例が出てくる可能性がある。どんな基準で大衆芸術家に兵役特例を提供するのか、それを明確に立てるならば、与野党合意は十分に可能」と見通している。
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