韓国政府はムン・ジェイン(文在寅)政権時代までは米中覇権競争状況で「戦略的曖昧性」を標榜してきた。だが、昨年5月のユン・ソンニョル(尹錫悦)政権発足後は、中国との協力意思を明らかにしながらも「米韓同盟強化・発展」を最優先にする外交政策を展開している。
韓国が昨年5月、米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に創立メンバーとして参加したのに続き、現在、米国主導の半導体供給網に関する協議体「CHIP4」の参加について論議も進めている。韓国政府は最近、「韓国版」インド太平洋戦略の最終案を公開し、米国のインド太平洋戦略と連携する意思を明らかにした。
米国のインド太平洋戦略は、究極的に中国の域内影響力拡大を遮断することにその目的がある――というのが韓国内外専門家の一般的な評価だ。
日本は米国のインド太平洋戦略作りの過程で事実上初のアイデアを提供した国だ。日米両国はインド太平洋戦略と関連して、それぞれ中国を「既存の秩序に挑戦する現状変更勢力」「これまでにない最大の戦略的挑戦」と記述し、対立してきた。
特に、バイデン米政権は2021年1月の発足以来、北朝鮮とともに中国を域内安全保障の脅威として名指しし、日本や韓国との安全保障協力の強化を追求してきた。
つまり、このような一連の過程を注視していた中国当局が、昨年10月の習近平共産党総書記による3期目の発足、そして最近の外交トップの交代を経て、日韓両国に対しても攻勢的外交を展開することにした。その最初の「作品」として「防疫報復」を選んだのではないか――という観測が出ている。
牙山(アサン)政策研究院のイ・ドンギュ研究委員は「中国が韓国と日本を批判してビザ問題を仕掛けたのは、自分たちの域内影響力を誇示し『韓国が米国に同調する時、圧迫できる』という点を示そうとする意図がある」と分析した。
梨花女子大学のパク・ウォンゴン教授も「中国当局が韓日に対して報復措置を取ったことには政治的意味がないはずはない。中国が韓日両国をオーストラリア・ニュージーランドとともに米国主導の『中国けん制』に参加する国家とみなしているということだ」と評価した。
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