仮想融合(メタバース)産業の支援や規制改善のための「仮想融合産業振興法」制定案が20日、国務会議(日本の閣議に相当)で議決された。同法は、公布後6カ月間の経過期間を経て、今年8月末から施行される。科学技術情報通信省は、法を支障なく遂行するために施行令・施行規則など下位法令の本格的な準備手続きに入る。科学技術情報通信省は「世界初のメタバース産業振興のための法律だ」と強調した。
科学技術情報通信省によると、仮想融合世界(メタバース)は、仮想空間と現実空間を連結し相互作用する技術を元に経済的、社会的、文化的活動ができる世界であり、多様な産業と融合して経済活動領域を拡張し、新たな付加価値を創出するサービスとして注目されている。
そこで、仮想融合産業を振興するための独立した法律が必要だとの意見が強まり、2022年1月の国会で法案が初めて発議され、以後、科学技術情報通信委員会(2023.12.8)、法制司法委員会(2024.1.31)、本会議(2024.2.1)の議決を経て、この日の国務会議に上程された。
国会で議決された法案は▽「メタバース産業振興法案」(2022.1.11、キム・ヨンシク議員)▽「仮想融合経済発展や支援に関する法律案」(2022.1.25、チョ・スンレ議員)▽「メタバース産業振興法案」(2022.9.1、ホ・ウナ議員)――の3法案を統合、調整したものだ。
議決された法案は、仮想融合世界に関する定義を規定し、これと関連した仮想融合産業やサービスを体系的に育成し、多様な産業・技術間の融合により発生する規制イシューを先制的に改善するために準備された。
主な内容は以下の通り。
◇仮想融合産業振興のための推進体系や基盤造成
科学技術情報通信相は、関係省庁や自治体の意見を収集し、仮想融合産業振興のための基本計画を3年ごとに策定、施行(第6条)することができる。基本計画には▽政策方向と目標▽人的・物的基盤造成▽研究開発支援と研究成果拡散や事業化▽規制や法・制度改善――などに関する事項を含めなければならない。また、仮想融合産業振興のための関連産業の現状、規制改善課題の掘り起こしに関し、実態調査を実施や公表(第8条)することができる。
政府は▽仮想融合産業に必要な専門人材の養成(第10条)▽技術開発促進(第11条)▽研究開発基盤の造成(第12条)▽標準化支援(第13条)――など、仮想融合技術とサービス発展のための基盤を造成する。また、科学技術情報通信相は仮想融合産業振興に関する政策を効率的に推進するために専門担当機関(第17条)と地域別仮想融合産業支援センター(第19条)を指定や支援することができる。
◇仮想融合技術・サービス開発や事業化支援など仮想融合産業の振興
仮想融合技術・サービス開発や事業化、装備・施設共同使用、既存サービスの仮想融合サービス転換支援など、仮想融合事業者に対する行政的・財政的支援(第20条、第21条)とモデル事業(第22条)、仮想融合産業と関連する国際協力活性化や海外市場進出促進(第24条)など、仮想融合産業振興のための推進根拠を用意した。また、民間メタバース市場の活性化に向け、政府・自治体等で仮想融合技術やサービス開発に関する事業を推進する場合、民間市場への影響を分析する仮想融合事業影響評価制度(第26条)を導入する。
◇先制的な規制革新や民間中心の自律規制体系の確立
仮想融合技術・サービス開発に関連し、優先許容・事後規制原則の適用を明文化(第5条)した。また、仮想融合事業者は、科学技術情報通信相の認可を受けて仮想融合産業関連協会を設立(第18条)することができ、協会は利用者を保護し、安全や信頼できる仮想融合技術・サービスの提供・利用環境造成のために民間中心の自律規制(第27条)を推進することができる。
さらに、メタバースのように新産業の特性によって既存法令の適用可否または適用範囲が不明な場合、法令の解釈基準を関係部署が迅速に用意するようにする臨時基準制度を導入(第2条第5号、第28条)し、事業者の法的予測可能性を向上させ、規制機関の一貫性のある法執行を誘導できるようにした。
◇利用者保護や健全な仮想融合世界の生態系造成
仮想融合サービスに関する情報提供や教育、児童・青少年保護など利用者の権益保護のための事業の推進根拠を設ける(第30条)一方、不当な差別的コンテンツの制作・流通を防止し、利用者を不当に差別して扱わないなど、健全な仮想融合世界生態系の造成や維持のために仮想融合事業者が努力しなければならない義務を規定(第31条)した。
イ・ジョンホ科学技術通信相は「メタバースは空間コンピューティング、人工知能など多様な技術と結合し、デジタル経済・社会を革新し、人間の経験を拡張する新たなサービスを創出するなど、成長潜在力が非常に高い分野だ」と強調した。
世界で初めてメタバース産業振興のための法律が制定されたことにより、激しいグローバル競争の中で韓国がメタバース市場を先導できる基盤が造成されたとみる。
さらに「科学技術情報通信省はメタバース産業発展のための制度的基礎を完備し、新たな規律体系が産業現場に根付き、実効性が確保されるよう下位法令を適期に制定し、民間中心の自律規制体系の構築を支援するなど、後続措置に万全を期する」とした。
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