K-POPが海外輸出向けになり、まず聞きやすく共感しやすいメッセージに重きを置くようになった。
以前のようなマニアを狙った音楽には限界があるという指摘はあった。グローバルグループ「BTS(防弾少年団)」も初期の世界観に共感したマニアが中心となってファンダムを構成したが、結局、彼らを世界的なグループに仲間入りさせたのは――BTSメンバーが望む音楽的方向性ではなかったということはともかく――「ダイナマイト」と「バター」のようなポップダンス曲だった。
ところが、ライバル会社のグループがこれほど勢いに乗っているのに、4大企画会社の中でSMだけが、米ビルボードメインシングルチャート「ホット100」に1曲もランクインさせられない状況が続いた。70歳を超えたイ・スマン元総括プロデューサーに対する感覚を疑う声が、SM内部とファンダムの間から出てくるしかなかった。
そのうえ、aespa(エスパ)の「ネクストレーベル」、「Red Velvet(レッドベルベット)」の「フィル・マイ・リズム」、「NCT(エヌシーティー)ドリーム」の「キャンディ」などを除けば、この数年間に大ヒットした曲もなかった。しかも「ネクストレーベル」と「キャンディ」は映画「ワイルドスピード/ホップス&ショー」OSTと、H.O.Tの曲をリメイクした歌だった。
◇「イ・スマン氏は裏切った」
一方、スムドクとピンクブラッドは、SMの個性を尊重している。HYBEに買収される場合、その個性を失いかねないという懸念がある。イ・スマン氏がHYBEに株の持分を渡したことに対し、大きく失望感を示した理由だ。特に、自分たちが支持したSMの遺産を一気に他のところに渡したことに対し、SMファンは大きく困惑している。
SMの長年のファンという30代の会社員は「イ・スマン氏のプロデュースにしばしば失望することがあっても、それでも支持したのは、発掘したアーティストとSMのブランドに最後まで責任を負う『ゴッドファーザー』という信頼があったためだ。だが、イ・スマン氏はその信頼を裏切った」と明かした。
SMがカカオと繋がった後、HYBEと手を組んだイ・スマン氏は、HYBEがSMを買収しても契約条件から3年間は国内でプロデュース活動はできない。3年後にイ・スマン氏の年齢は満74歳。事実上、今回の事態で、プロデュースから引退することになった。ユ・ヨンジン理事も、「イ・スマン氏のいないSMはSMではない」とし、SMプロデュースからの離脱を予告した。
「SM A&R(Artists and Repertorie)チーム」は、イ・スマン氏、ユ理事ラインとSM現経営陣ラインに分かれるなど、内紛が激しいとされる。SMが良い曲を収集するために毎年開いてきたソングキャンプが、どのように展開されるのかも関心事だ。
(つづく)
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