韓国の会社員、ノさん(30)は最近、カカオトークで、「[速報]□□党代表の○○○氏、代表職辞退」という記事を見た。ノさんは、記事の内容に驚いてクリックしたが、後になってフェイクニュース(虚偽情報)だとわかった。
一方、ノさん自身も好奇心から、友人A氏の実名が入った犯罪記事を作ったり、嫌いな政治家の実名を入れた麻薬事件の記事を作り、友人たちに流布したことがある。
韓国総選挙や米大統領選挙など、世界各国の政治イベントで、フェイクニュースがあふれ、議論が沸騰している。これらは「フェイクニュース作成システム」によって作られるもので、多くは友人や知人を対象にし、いたずらを楽しむことを目的としている。ただ、誤って利用されると、名誉毀損などの法的問題につながるため、厳重な注意が必要だ。
フェイクニュース作成システムは、誰でも会員加入なしに利用でき、簡単に記事を作ることが可能だ。ニュースタイトル、記事イメージ、ニュースジャンル(「速報」「単独」「総合」など)だけ入力すれば記事が完成する。記事のリンクをコピーすれば、カカオトークなどで共有できる。
記者はこのほど、フェイクニュース作成システムを試してみた。「[速報]検察、「賭博疑惑」30代芸能人A氏拘束令状請求」という記事を作り、その後、カカオトークのチャットルームで共有した。
表面上はフェイクニュースとわからないが、記事をクリックしてウェブページにアクセスすると、それがフェイクニュースだという通知が出てくる。「再生数が1000回以上に達すると、商品券5万ウォン(約5500円)がもらえる」とし、フェイクニュースの作成を勧めている。商品券をもらうには、記事掲示者のEメールアドレスが必要とされる。
こうして作られたるフェイクニュースの数は、1日平均約200件とみられる。ただし、場合によっては、名誉毀損罪などの犯罪が成立する可能性があり、「虚偽事実摘示名誉毀損罪」に該当すれば7年以下の懲役、5000万ウォン以下の罰金の対象となる。
フェイクニュース作成システムで、友人とフェイクニュースを共有したことがあるキム某(30)氏は「友人をからかうためにいたずらで使った内容が、さまざまな所に流布されるとは思わなかった。すぐにでも文章を削除しようとしたが、それにも費用がかかることがわかり、困ってしまった」と話した。
フェイクニュース作成システムによるウェブサイトの遮断は、現実的には難しい。現行法では、関連の規制がなく、処罰に限界があるためだ。【NEWSIS ユン・ジョンミン記者】
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