ハンバーガーの調理師がロボットの横で忙しく動く一方、ロボットの下段グリルが自動的にパテを持ち上げている。上部のグリルに近づき、パテはやがてマイヤール反応(タンパク質調理時の化学変化)を起こし、厚くなった。調理が1分で完了した。
ハンバーガーのパテを焼くのにロボットが活用される日も遠くない。
食品生産から流通までの全過程にロボット、3Dプリンターなど最新情報通信技術(ICT)を導入することを「フードテック」という。韓国外食業界は現場の人手不足を解消し、売り場運営の効率を上げるため、試験的に導入を始めている。
市場の成長の勢いも全体の食品市場に比べて6倍速いなど、急激だ。韓国政府の2020年報告書である「農食品産業の革新成長のためのフードテック産業発展方案」によると、2017年から2020年までの国内フードテック市場の年平均成長率は約31%だ。同期間内の食品市場全体の成長率は4.8%だった。2020年基準の国内フードテック市場規模は61兆ウォン(1ウォン=約0.1円)だ。
◇「ロボットによる品質管理」に評価
商用化のレベルに達する技術を備えた業者としてはハンバーガーパテを自動的に調理するロボット「アルファグリル」を製作したエニアイがある。
国内ではロッテGRS、CJフレッシュウェイなど7社と契約を結んだ。昨年の予約注文で、今年は米国、韓国などに計100台余りのアルファグリルを販売する予定だ。今月、ロッテリアソウル九老区(クログ)支店にも性能を改良したアルファグリルシリーズが導入される予定だ。
顧客会社が高く評価した部分は、ロボットによる品質管理(QC、Quality Control)だ。全国にチェーン店の形で運営されるハンバーガー業者は品質のばらつきが生じざるを得ないが、ロボットシェフがこれを解消することができるのだ。
エニアイ関係者は「国内ハンバーガー市場は海外ブランドも参入するなど競争が激しく、顧客会社は一貫した品質確保に熱心に取り組む。業界が人間の調理師に比べて店舗ごとのばらつきを減らすことができるという点に注目したようだ」と説明した。
◇人手不足と運営効率
ロボットシェフの導入には、現場の人手不足や売り場の運営効率を高める目的もある。
ロッテGRS関係者は「鉄板の前でパテを焼く単純労働は、危険なだけでなく人材需給問題もある。ロボットがこれに代わって労働条件を改善し、売り場の効率向上を達成できるだろう」と話した。
ロボットシェフが商用化レベルに到達するためには、作動信頼性と厨房規格に合う縮小化を達成しなければならない。エニアイは「キッチンの熱い油煙など高熱と湿気にも問題なく作動しながらも機能のすべてが狭いキッチン規格に合うよう小型化されなければならなかった」と開発過程を説明した。
今後、エニアイは人工知能(AI)を活用し、顧客会社に最適化された調理法を取りまとめていくことも考えている。
ロボットに搭載されたカメラやセンサーなどを活用し、パテの調理時間、マイヤールの色味、厚さなどのデータを収集し、AIの学習に活用する計画だ。
韓国フードテック協議会のイ・ギウォン共同会長は「すでにレインボーロボティクス、斗山(トゥサン)ロボティクスなどの企業価値が3兆ウォンに達するなど、ロボットソリューションはその競争力は認められている。長期的に外食事業所を管理することはデータを集積したAIになり、給仕や調理にロボットが普及するだろう」と見通した。
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