2024 年 5月 23日 (木)
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ソウルの「110円コップ酒」、苦境のお年寄りを引き寄せる「心の拠り所」

(c)MONEYTODAY

「面接を10カ所受けたんですが、全部落ちました。ここに来るのは心を慰めるためです」

8日午前11時ころ、ソウル市鍾路区(チョンノグ)のタプコル公園隣の「金持ち村」食堂。人気演歌歌手チン・ソンの「ポリッコゲ(春窮期)」の歌が流れてくるここはマッコリ1杯、焼酎1杯を1000ウォン(約110円)で販売するタプコル公園唯一のコップ酒の飲み屋だ。

この日、ここを訪れた78歳のキムさんは、マッコリ1杯に卵1つを注文し、ため息をついた。キムさんはカバンの中にある採用広告と履歴書を取り出した。マンションの警備、病院のヘルパーなどいくつかの面接を受けたが、すべて落ちたという。

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「富川(プチョン)からここまで10年以上毎日来ている。仕事を探そうとしても全て落ちる。国民年金だけで節約して生活しなければならない」。キムさんはこう言って肩を落とした。

韓国政府は早ければ今月から、コップ酒の販売を認める内容の法案を推進すると明らかにした。コップ酒の販売は違法であるうえ、利益が大きくないため、ほとんどの飲食店は手掛けず、一部の飲み屋では暗黙のうちに提供していた。高齢者が集まったタプコル公園付近で10年以上、コップ酒を販売した金持ち村が代表的だ。

金持ちの村は、タプコル公園の隣のソンヘギルで17年以上商売をした。食堂の内部ではチャドルバギ・ヘジャングク、鶏コムタン、豚クッパなどを6000~8000ウォンで販売する。

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もう片方では、小さなテイクアウトカフェのようにコップ酒1杯だけを別に販売している。焼酎1杯、マッコリ1杯がそれぞれ1000ウォンだ。焼酎1本(4000ウォン)でグラス4杯分ほど出てくるが、それぞれ1000ウォンで販売するわけだから、いわゆる「ぼったくり」ではない。

おつまみもいろいろある。卵は1個500ウォン、ピーナッツ1袋3000ウォン。プルコギ1カップも1000ウォンで販売する。たくわん、いわし、昆布、とうもろこしなどはすべて無料だ。店の隣にある自販機のコーヒーは1杯200~300ウォンだ。

金持ち村を訪れる人はほとんどが高齢者だ。寂しさを紛らすために一人酒をする人や、同年代の友達と訪ねてきた人もいる。彼らは最近のように焼酎の値段が6000ウォン以上もする中で、安い酒を飲めるのは「心の慰め」だと話した。

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キムさんは「私はどこにも行くところもない。友人がいれば焼酎でも一緒に飲むけど、そのような人もいないのでここに来るのがちょうど良い」と話した。また「ここはおつまみも無料で気楽に楽しめる。まさに心の拠り所で、とてもありがたい空間だ」と話した。

金持ち村は最も忙しい時間帯が午前10時から5時までだ。午後6時になると、みんな家に帰り、むしろ客が来ない。この日も午前10時ころにお客さんが一番多かった。高齢者6人がテーブルに座って自販機のコーヒーを飲んでいた。

70代のイさんは「タプコル公園で提供される無料昼食を食べるために、早めにここに来た。昼休みに行けば300~400人が並んでいる。家に一人でいたってすることがない。早く来て、こうやってコーヒーを飲みながら話をしてからご飯を食べに行くのがいい」と話した。

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