2024 年 11月 2日 (土)
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グラミー賞逃した「BTS」…実は成功の延長線上 (上)

  現場ルポ  

「第64回グラミー賞」でパフォーマンスを披露するBTSのメンバー(写真提供=Big Hit Entertainment)©MONEYTODAY

米音楽界最高峰の祭典「グラミー賞」。BTSは受賞を逃したものの、これは「失敗」ではなく「成功」という評価が出ている。保守的なグラミー賞において、米本土の主流ポップスターでも、白人男性でもない、アジアのボーイズグループが2年連続で「常連客」として注目されたことに大きな意味があるというわけだ。

米ラスベガスのMGMグランドガーデンアリーナで3日開催された「第64回グラミー賞」で、最優秀ポップ・パフォーマンス(グループ)部門は、米歌手ドージャ・キャットとSZAの「Kiss Me More」が受賞した。この部門にはBTSのヒット曲「Butter」がノミネートされ、一部では受賞の可能性が指摘されていた。

その理由の一つに、BTSが昨年「ビルボード・ミュージック・アワード」や「アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)」といった、米国で権威のある大衆音楽賞を相次いで制覇したことが挙げられる。

また、差別・不透明さの象徴だった「秘密委員会」の制度が廃止されるなど、保守的な色合いが強かったグラミーにも開放的な空気が感じられるようになっていたのも好材料だった。

さらに、BTSがノミネートされたのがグラミー4大本賞(「今年のレコード」「今年のアルバム」「今年の歌」「ベストニューアーティスト」)ではない「最優秀ポップ・パフォーマンス(グループ)」だったこともあり、これらを総合して“行けるのでは”という期待感が高まっていた。

だが、受賞の栄冠はBTSの手には渡らなかった。

音楽業界の一部には「予想された結果」という見方もある。

そもそも「Butter」という曲が、やや物足りないという指摘だ。グラミー賞は、商業性よりも作品性に焦点を合わせる。ドージャ・キャットとSZAのデュオをはじめ、今年95歳で歴代最高齢者候補に上がり、「今年のレコード」にまで名前を連ねたトニー・ベネットやレディー・ガガら優れた作品揃いだったためだ。

音楽評論家のチョン・ミンジェ氏はこう指摘する。

「ドージャ・キャットとSZAの曲は、2021年を席巻したロングセラーで、ベネットも事実上、“最後の作品”という象徴性がある。つまりそれぞれの曲に優れた作品性とストーリーがあった。BTSも作品性の高い曲を発表してきたが、『Butter』はややイベント性が濃く、興行に重点を置いた曲といえる。グラミー賞はボーイズバンドをあまり好まない傾向もあり、競争作品に押されてしまった」

©MONEYTODAY

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