
韓国で中小・インディ系の化粧品ブランドが、ソウルの観光エリアに続々と「フラッグシップストア」を出店している。これまでオンラインやコスメ専門セレクトショップ「オリーブヤング」などを中心に販売してきたブランドが、自らの路面店舗での展開にシフトしている。
2025年6月現在、ソウル・聖水洞(ソンスドン)はその象徴的なエリアだ。たとえば今月だけでも、メイクアップブランド「アミューズ」が聖水に、同じく「ティルティル」が明洞に常設店を開店。先月も「バニラコ」「ロムアンド」が聖水に出店したほか、昨年8月に「デイジーク」、今年3月には「ピア」も同地に店舗を構えている。
これにより、従来のオリーブヤングのような編集型店舗に加え、ブランド独自の常設店が集積する「ロードショップ」エリアとしての性格が明確になりつつある。
美顔器などを展開する韓国の美容機器メーカー、APRも年内に聖水洞に3つ目の常設店を開設予定。同社はここをスキンケアや香水を含むブランド体験型空間として運用する計画だ。
これまで短期間のポップアップストアが主流だった聖水の商圏は、現在では常設型のフラッグシップストアが台頭し、その性格が大きく変わりつつある。背景にはトレンドに敏感な若年女性層(10~30代)の流入があり、韓国の不動産大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの分析によると、聖水を訪れる人々のうち約36%がこの層に属する。
また、これらのブランドが高額な家賃を払ってまで聖水に出店する理由には、外国人観光客の急増もある。明洞以外にも観光拠点が多様化する中、オンライン購入に慣れた海外の顧客が訪韓時に実際にブランドを体験できる場所として、聖水が選ばれているのだ。
ある韓国コスメブランド関係者は「海外で商品を知ったお客様が韓国ではどこで買えるのか尋ねてくるケースが多い。そのため明洞や聖水といった観光地に出店している」と説明している。
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