合併・買収や戦略的提携は、互いにウィンウィン可能な場合に生じる。小規模な会社はますます疎外される。協力相手を物色しているという中堅会社の関係者は「名前のある歌手が所属していない会社は、名刺さえ差し出せない」と言い「新型コロナウイルスの感染拡大を経て世界景気の低迷もあり、会社間の格差がさらに激しくなっていると感じる」と語った。
実際、大手の物量IP攻勢の中で、過去の小規模会社の歌手が注目されるケースは珍しくなっている。「トンビがタカを生む」ケースは、ほとんどなくなると見られる。すでにアイドルグループが満ちあふれているうえ、大手事務所から完成度が高く魅力のあるチームが出てくる確率も高い。HYBEの新レーベル「ADOR」のミン・ヒジン代表が手がけた「NewJeans(ニュージーンズ)」が代表的な例だ。
◇潜在能力なければ2、3年で解散
2010年代半ばにK-POP2.5世代の「EXO(エクソ)」とK-POP第3世代の「BTS(防弾少年団)」から、K-POPはアジアを越えて世界に広がり、ボーイズグループはもちろんガールズグループも雨後の竹の子のように誕生した。潜在能力を認められなかったグループは2、3年で解散するケースが多くなった。
デビューするやいなや注目されるグループを作るためには、少なくとも数十億ウォンが必要だ。大々的なプロモーションまでやるとなると、100億ウォンを超えることもありうる。小規模な会社には耐え難い構造だ。状況は異なるが、大手のSMまで買収対象となった状況で、今後、大手が資金不足の会社や内部的な問題がある会社を買収する流れが続くだろうとの見方もある。
◇「Jポップ」と「広東ポップ」の教訓
一方、HYBEがSMの大株主になって買収に至ることになれば、独占・寡占に対する懸念も生じる。この両社の合併が、公正取引委員会の企業合併審査対象になるかどうかも注目されている。両社が一つ屋根の下に収まれば、ファンプラットフォームはもちろんアルバム販売量の占有率でも他を寄せ付けない威力が発生すると予想されるからだ。
例えば、韓国音楽コンテンツ協会が運営するサークルチャート(当時のガオンチャート)によると、2021年のSMのアルバム販売量は1800万枚、HYBEレーベルズのアルバム販売量は1500万枚だった。両社のアルバム販売量を合わせると約3300万枚で、その年のアルバム販売量6000万枚の半分を超える。昨年のアルバム販売量は8000万枚だったが、両社が占める割合は一昨年とほぼ同じか、それを上回るものとみられる。
一方、今やK-POPが海外輸出向けになったため、むしろSMとHYBEの提携やSMとカカオの提携は、K-POPの世界進出の心強い橋頭堡になるかもしれないという肯定的な見方もある。
1970年代~1980年代と1980年代と1990年代初めには各々日本の「Jポップ」、香港の「広東ポップ」が世界的な人気を集めた。その後、スターを輩出できず、一時的なものにとどまった。K-POPがこの二の舞を演じないようにするためには、持続的にスターを輩出できるプラットフォームが必要だという意見も出ている。
(つづく)
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