2025 年 5月 20日 (火)
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なぜ遅れた?憲法裁…尹錫悦氏に対する“全員一致の罷免判断”に込めた意味

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領(c)news1/MONEYTODAY

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)氏を大統領職から罷免すると、憲法裁判所が「8人全員一致」で決定した背景には、裁判官らが国民統合という重い責任を強く意識したためとの分析が出ている。当初はもっと早期の判断が予想されたが、社会的分裂を最小限に抑えるため、意見の一致を優先した“熟慮の時間”が必要だったという見方が法曹関係者の間で広がっている。

憲法裁は4日、全会一致でユン・ソンニョル氏の罷免を決定した。昨年12月3日に発令された非常戒厳から122日後、2月25日の最終弁論から38日が経過しての判断だった。

この間、政界では6対2、5対3、4対4などさまざまな憶測が飛び交ったが、蓋を開けてみれば完全一致の判決だった。

一部からは「もっと早く決定を下して社会の混乱を収束させるべきだった」との指摘もあるが、法曹界では「国家元首に対する罷免という重みのある判断には慎重を期すべきだ」という意見が主流だ。

決定文をみると、憲法上の5つの弾劾要件については全員の判断が一致したものの、手続きに関しては補足意見が分かれた。

たとえば、国会による弾劾訴追権の濫用の可否に関して、チョン・ヒョンシク裁判官は「訴追案の発議回数を制限する立法が必要」と主張。証拠能力に関しても、キム・ヒョンドゥ、イ・ミソンの両裁判官は「検察調書の証拠採用基準を緩和すべきだ」と述べたのに対し、チョ・ハンチャン、キム・ボクヒョンの両裁判官は「厳格な基準が必要」との補足意見を出した。

このことから、一部の裁判官は当初「棄却」の可能性を検討していたのではないかとの見方もあり、意見の擦り合わせに時間を要したとみられる。今回の判決が国民に対する説得力と信頼を高めるために慎重に構成されたことは、決定文の完成度の高さからもうかがえる。

特に注目されたのは、憲法裁が国会側にも責任を求めた点だ。ムン・ヒョンベ所長代行は判決文で「国会は政府との関係において、寛容と自制を前提に対話と妥協を通じて結論を導く努力が必要だった」「ユン・ソンニョル氏も国民の代表である国会を協治の相手として尊重すべきだった」と述べた。これは政治的対立の責任を一方に帰さず、民主主義の原理のもとで解決すべき問題だったとの認識を示したものだ。

ソウル市立大学法学専門大学院のキム・デファン教授は「裁判官の熟慮が長引き、審議が延びたのだろう。憲法裁の意見が割れれば国民の分断も深まる危険があった。今回のような重大事案で全会一致の判断を示したことは、統合と説得効果を最大化する意味を持つ」と評価した。

(c)MONEYTODAY

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