韓国の会社員Aさんは、がんになった母親の入院先を探すため、あちこちの療養病院を巡っている。最近訪問したのは郊外ではなく、ソウル市江南(カンナム)区の大型療養病院。応対した看護師はホテルのような病室と充実の診療体制、シェフが提供する食事などを強調した。だがAさんは「何より都心に近いところが気に入った。ただ価格が多少高いのでもう少し考えてみなければならないが」と話した。
韓国で都心にオープンする高齢者向けの療養病院が増え、患者や家族からの問い合わせが相次いでいる。統計庁の資料によると、2021年時点の療養病院は全国で1464カ所あり、このうち124カ所がソウルに集中している。療養病院の約9%がソウルに位置していることになる。
人気の理由は円滑なアクセスにある。Aさんが訪ねた療養病院も最寄り駅が近く、職場からも負担にならない距離だ。
患者としても都心の生活を享受できるのはありがたい。60代のBさんは「都市生活を楽しんできたのに、郊外にある療養病院に入るのは気に入らない」と話した。
ホテルのような施設とサービス、多様な付帯施設も人気の要因だ。個室や2人部屋などを長所として掲げたり、都心の雰囲気を意識してカフェやサウナを設けたりするなど差別化を図る療養病院もある。
ただ、こうした施設やサービスが予告なしに変わったり中断されたりすることもあるので注意が必要という。ある療養病院の関係者は「健康が悪化してから利用する場合が多く、細心の管理が必要なのに、金もうけに重点を置く療養病院もある」と注意を呼び掛けた。
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