
韓国でテレビのホームショッピングが危機に追い込まれている。視聴者や人口自体が次第に減っているうえ、eコマースなど流通業界の競争が激化しているためだ。ホームショッピング事業が低迷すればインターネットテレビ(IPTV)、総合有線放送事業者(SO)など有料放送会社も共倒れの危機に陥る。
有料放送会社は、ホームショッピングの放送手数料が主な収入源だ。ホームショッピングを締め付けている古い規制を緩和し、公正な競争を通じた利益創出が必要な時期に入っている。
◇「単純な危機ではない」
ホームショッピングは一時、「黄金の卵を産むガチョウ」だった。だが新型コロナウイルスの「エンデミック」が本格化した今年第1四半期(1~3月)に実績が急減した。
そして、3~4年後には赤字企業が続出するものと憂慮されている。テレビ視聴人口は減り、eコマース市場へと消費者が移っているためだ。
競争力の落ちた産業が衰退していくのは市場の自然な論理だが、ホームショッピングの失墜は彼らだけの危機ではないという点で、問題はそう単純ではない。
ホームショッピング側は多額の放送手数料を支払うため、有料放送会社の資金源の柱となっている。放送通信発展基金の分担金も少なくない。ホームショッピング産業が低迷すれば、放送市場も不安定にならざるを得ないのだ。
ホームショッピング業界は特恵や恩恵を求めるのではなく、公正な競争を阻害する規制を緩和し、事業の自律性を拡大してほしいと口をそろえる。
◇最大の原因は「テレビ視聴人口減」
今年第1四半期のホームショッピング上位4社(現代、CJ、GS、ロッテ)の営業利益は前年同期比32.4%減の710億ウォン(1ウォン=約0.1円)だった。売上高は前年同期比5.3%減の1兆1033億ウォンで、営業利益率も昨年の9%から6.4%へと下がった。
営業利益はロッテホームショッピングが87.6%、現代ホームショッピングが49.3%、それぞれ減少した。
ロッテホームショッピングは夜明け時間帯の放送禁止という一過性の要因もあったが、そもそも、この時間帯の売り上げ割合は高くない。したがって「マイナス87.6%」は衝撃的な数字だ。
現代ホームショッピングは実績不振の理由として「TV部門で家電、レンタル、健康食品の編成の縮小や、リビングカテゴリーの不振で取扱高が減少したうえ、放送料の増加などで営業利益が減った」と説明している。
ホームショッピングより規模の小さいTコマース(テレビを使った電子商取引)はさらに厳しい。
Tコマース上位3社(SKストア、KTアルファ、新世界ライブショッピング)も今年第1四半期の売り上げは前年同期比9.4%減の2151億ウォンだった。このうちSKストアと新世界ライブショッピングは赤字だった。
ホームショッピング産業が低迷する最大の理由は、オンライン動画サービス(OTT)など新規メディアの攻勢によってテレビ視聴人口が減っているためだ。放送通信委員会の「2022放送メディア利用形態調査」によると、テレビ利用時間(有料放送含む)は1日平均2時間36分で2年連続減少した。新型コロナ感染拡大で2020年には2時間51分まで増えたが、今は新型コロナ前の2019年(2時間42分)よりも短くなった。
半面、曖昧な放送審議規定と中小企業製品を取り上げる義務などは、一般の流通業者との競争においてブレーキをかける形になっている。あるホームショッピングの幹部は「中長期的には赤字企業が誕生してもおかしくない。構造的な事業改革が必要だ」と指摘する。
(つづく)
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