2024 年 10月 10日 (木)
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「龍山時代の象徴」尹大統領の囲み取材、消滅の危機 (下)

18日午前、囲み取材終了後、口論をするイ・ギジョン大統領秘書室広報企画秘書官(左)とMBC記者(c)news1

◇MBCテレビのクルー問題

問題となったのは、大統領側が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議などで歴訪する際、MBCテレビのクルーを大統領専用機に搭乗させなかったことだ。

ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領はMBCの搭乗拒否について説明し、これにMBC記者が反発、席を立とうとする大統領に質問した。ユン大統領は質問に答えず、執務室に向かったため、MBC記者とイ・ギジョン(李起禎)大統領秘書室広報企画秘書官の間で口論が起きた。その様子がメディアにそのまま報道され、大統領室が不快感を示した。

大統領側はこれを問題視した。大統領室関係者は「大統領が囲み取材を終えているのに、背中越しに大声で叫び、同じ話を2度繰り返した。それが正当な取材活動だとは思わない」と指摘した。こうした状況では囲み取材の本来の趣旨を生かすことが難しく、むしろ国民とのコミュニケーションを阻害する恐れがある、と判断した。

大統領室はMBC記者に対する相応の措置のため、記者団に運営委員会を招集することを要請した。しかし、記者団は根拠が足らないと判断し、応じなかった。

一連の問題で、大統領室担当記者の管理業務を総括してきたキム・ヨンテ大統領室対外協力秘書官が辞意を表明した。大統領室とMBC間の衝突に対して責任を負うという意思を明らかにしたという。

18日午前、囲み取材に応じる韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(c)news1

◇「壁」が出現

大統領室は20日、囲み取材が実施された1階ロビーに木の合板でできた仮壁を設置した。このため、記者のいる廊下の空間では、大統領室の出入り口を見ることができなくなった。ユン大統領の出勤途中の姿が確認できなくなったわけだ。大統領室は「保安上」の理由で設置したものであって、囲み取材とは関係ないと明らかにした。

こうした状況によって、ユン大統領の象徴ともいえる囲み取材は重大な岐路に立たされることになった。

現在のところ、囲み取材がいつ再開されるか予想し難い。「コミュニケーション」を重要視してきたユン大統領であるがゆえ、囲み取材をこのまま中断することも難しい状況だ。

大統領室高官は「囲み取材に対する大統領の意志は誰よりも強かった。私たちも、質問される大統領、けん制される大統領という、これまでとは異なる、一歩進んだコミュニケーション方法を定着させようという考えがあった。しかし、それが政治の攻防の場に変質した。再開するためには、さらなる努力が必要だ」と述べた。

(c)news1

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