
「大規模な書籍展示会の男性用トイレががら空きで、危機感を覚えた」――6月22日に開かれたソウル国際図書展での、ソウル大学のイ・ジュンホ教授の発言が話題になった。近年、「男性は本を読まない」という印象が広まりつつあるが、出版業界はこれに反論する。
確かに純文学や教養書といったジャンルでは男性の読書率が低い傾向にあるものの、全体的な読書量ではむしろ女性より高い数値が出ている。
出版業界によると、今年15万人以上が来場したソウル国際図書展では観客の過半数以上が20~30代女性と推定されており、イベントやブックトークも女性参加者中心に開かれた。作家キム・ジュワンは自身のトークイベントで「来場者のうち男性は19人しかいなかった」と述べている。
こうした背景から「男性は本を読まない」とする投稿がオンラインコミュニティに相次いで掲載され、中には数十万回も閲覧されたものもある。特に年齢が上がるほど、紙の本よりもNetflixやYouTubeなど映像コンテンツに傾く傾向が指摘されている。
ただ、統計庁の2023年社会調査によると、男性の平均読書量は年間7.4冊で、女性(7.0冊)をわずかに上回っている。出版社側は「展示会への参加率と実際の読書量は異なる」とし、男性は書店に出向くことが少なく、購入よりも図書館などでの貸出を好む傾向があると分析する。
また、男性読者の読書傾向が特定ジャンルに集中している点も、読書離れの誤解を招いている。30~40代男性の間ではSF・ファンタジー、経済、政治・時事などへの関心が高く、オンライン書店イエス24によると、2024年上半期のSF・ファンタジー小説の販売は前年同期比で20.1%増加している。
ただし、出版業界にとっての懸念は、男性読者の「購入力」の弱さにある。たとえば、読書グッズや限定パッケージ商品などは40~50代女性が主な購入層で、イエス24の調査では女性が44%を占めた。他の大手書店でも同様の傾向が見られる。
そのため、出版社は男性向けのアプローチを強化しており、ショート動画やSNS活用、ウェブ小説や電子書籍など媒体の多様化を進めている。特にウェブ小説では、男性が好むジャンルであるファンタジー・SF・武侠ものが全体の38.2%を占めており、可能性の高い市場と見られている。
業界関係者は「男性読者は少なくないが、購入よりレンタル傾向が強く、女性に比べて客単価が低い」としつつ、「関心の高い分野に的を絞ったマーケティングが必要だ」と強調した。
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