「フランスワインと同じくらい、われわれのマッコリも素晴らしいです。しかし、人々は仏ボルドーのワイナリーを訪れても、マッコリを飲みに韓国に来ることはありません。文化ヘリテージ(伝統)が足りないからです。韓流に熱狂する外国人が、韓国情緒に浸るという“K-スピリット”こそ、K-カルチャーの最終段階だと考えます」
新型コロナウイルス感染を経て定着した代表的な「地球村文化コード(Culture Code)」の一つが、韓流だ。
韓国のグループ「BTS」コンサートで米ラスベガスが紫色に染まったのが、その象徴だ。
欧州で米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)ドラマ「イカゲーム」を見るために外に出るのを控えるのは普通のこと。
覆面をかぶったスターが声だけで実力を競う音楽バラエティ番組「覆面歌王」が、南米で韓国産芸能フォーマットとして大ヒットした。
年末年始の旅行先に米ハワイを選んでいた日本も、パンデミック以来3回目を迎える今年、行き先としてソウルを選んでいる。
「煙突のない産業」と呼ばれる文化・観光・コンテンツ分野が、「ポストコロナ」を迎えた韓国経済の新たな「稼ぐ力」として期待されている。政府も早い段階から、K-カルチャーを「超格差産業」(独自の技術力に基づいて世界市場の約半分を占める競争力を持つ産業)に育て、崩壊した観光生態系を早期に復旧するというロードマップを提示している。
K-カルチャーの潜在力をどう推し量ればよいか。文化や観光、コンテンツ分野を扱う唯一の政策研究機関である「韓国文化観光研究院」のキム・セウォン院長に尋ねてみた。
キム院長は今年10月28日に就任したばかり。メディアの欧州特派員を務め、文化に関する大舞台を取材するなど、記者として21年間、活動してきた。その後、高麗(コリョ)大とカトリック大教授を務めた。文化の専門家として約30年間、キャリアを積んできた人物だ。大統領選の際、当時のユン・ソンニョル(尹錫悦)候補陣営の文化トレンド先導委員長を務めたことから、ユン政権の文化政策ビジョンに明るいという評価がある。
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